すうっと落ちるように散る花びらもあれば、風に乗りひらひらと飛んでゆく花びらもある。
落花より飛花になりたいというのは桜が思うのではない。
見ている人がきっと飛花になりたいだろうと思い、そしてそれはその人自身の願望なのだ。
そもそも「花」が人の比喩であるとも読めるが、そう読むと説教臭くなってしまう。
桜についつい感情移入してしまう人間の性分と、
そんなこととは関係なくただただ散るばかりの花びらの美しさとの対比を楽しみたい。
宮坂靜生選「巻頭名句」(『NHK俳句 4月号』NHK出版、2013)より。