貨車にあけぼの丘上の楤の芽も  飯田龍太

貨車というメカニックなものに言い添えられることで、楤の芽の個性的な形が幾何学のように見えてくるから楽しい。そこを理系脳だけで終わらせない「あけぼの」のほのとした明るさが、世界は春であることを思い出させてくれる。

『春の道』(牧羊社・昭和四十六年)より。今晩は、送っていただいたたらの芽を天ぷらにして夕食にした。畑で作った販売用のたらの芽と、山で採ってきた野生のたらの芽。やはり苦味が全然違う。販売用のたらの芽は文句なくおいしいが、野生のたらの芽の苦味にほとばしる生命力も捨てがたかった。