2013年10月12日

秋昼寝『高濱虚子』と詠まれし句 

個人的に、知れば知る程、不信感のようなものが募ってゆく俳人が、高浜虚子(1874~1959)といえようか。
以前は、ある種の人たちが、なぜあそこまで虚子のことを憎むのか、やや不思議にさえ思っていたのであるが、俳句の歴史を少しばかり辿ってみると、段々とその心情もいくらか理解できるような気も……。
現在、虚子に対しては、少々複雑な思いがする、というのが正直なところではある。

『高濱虚子』は、虚子の弟子であった水原秋櫻子(1892~1981)の著作である。
秋櫻子の俳句に興味を持ちはじめた頃から、虚子より独立するまでの出来事を回想して綴ったもので、1952年に文芸春秋新社より刊行された(私の手元にあるのは、1990年に刊行された永田書房の『定本 高濱虚子』)。

当時、この本が刊行されると、虚子は、

老の春「高濱虚子」といふ書物

と詠んだという。

ともあれ、虚子の功罪の大きさというのは、やはりどちらも並外れたものがあるだろうなあ、という気がする。

小夜時雨上野を虚子の来つゝあらん  正岡子規

虚子一人銀河と共に西へ行く     高浜虚子

初空や大悪人虚子の頭上に      高浜虚子

虚子ぎらひかな女嫌ひのひとへ帯   杉田久女

春空に虚子説法図描きけり      阿波野青畝

虚子忌はや落花の浄土なまぐさし   飯田龍太

朴茅舎椿の虚子と争わず       和田魚里

鉦叩虚子の世さして遠からず     波多野爽波

虚子もなし風生もなし涼しさよ    小澤實

虚子の忌の喋る稲畑汀子かな     関悦史