2005.8.1.木の山文庫発行
鴇田智哉句集『こゑふたつ』
渋谷に行ってきました。渋谷池袋は人が多いのでよっぽどじゃなければ寄り付きません。
土曜の夜の渋谷だからか、不良少年、タトゥー、ならず者、レロレロ。警備員が栄養剤を片手に煙草を吸いながら虚ろな目で空を見ていました、ぷかぁ~。パトカー、救急車、酔っぱらい、喧嘩を売る中年、はしゃぐデカイ外国人、ギター、淫ら、ヤンキー、ヤンキー、ヤンキー。
いやー、日本なんてとっくに治安悪いんじゃないですかね、突然殴られたり刺されたり、あり得るようなところじゃないかなと、ぐったりしながら麒麟村まで帰ってきました。
あぁ、都会は怖い、怖くて嫌だけど、やっぱり魅力もある。
疲れちゃったなぁ、好きな句集を読もう。有名な句集ですが、鴇田智哉さんの『こゑふたつ』やります。
かなり昔、一人で卯波で飲んでると、鴇田さんやUいさんやS編集長にバッタリ会って、一緒に個室に交ぜてもらった事があり、その時、モジモジと、あのぉ、そのぉ、欲しいんですがぁと無礼にも句集をねだりまして、優しい鴇田さん、このクソガキ!なんて言わずにほんとに送ってくださり嬉しかった、という句集です。
この句集、かなり気に入ってまして、もう嫌だなぁ、この世は辛いなぁなんて時に読み返しています。
さ、読んでいきましょう。
見まはしてゆけばつめたい木の林
なんだか帰ってこれなさそうなところ。そういう場所はとても綺麗。
にはとりの煮ゆる匂ひや雪もよひ
太っちょな可愛い外国のお母さんが鍋をグツグツしている感じがする。鴇田さんの句は多分日本で作った俳句なんでしょうけど、日本が詠まれた感じがしない。外国のような、童話の国のような。
誰となく足らない夜の青葉かな
はーい、はい、はい、はーい、僕です。
朽ちてゆく舟あり合歓の花が咲き
これは舟を詠んだ句ですが、こんな最後を迎えたいなぁとこの句を詠んで思いました。死は静かで明るい場所が良い。
目をあけてゐて菜の花のふゆる夜
美味しいシチューを食べた時ぐらい幸せ
ゆふぐれの畳に白い鯉のぼり
これ最も好きな句の一つ。ぺたりと魂が落っこちているような感じが良い。
ががんぼのからだの広き夜なりけり
すぅー
天井にうすい絵のある桜の夜
多分ここが鴇田さんの美意識なんでしょう。見えすぎてはいけない。
炎天の少しとほくを見てゐたり
どこかへ行きたい、でも今日はいいや
ほそながくあをく道ありかはづの夜
どこかへ行きたい、行ってしまおう
ふたつゐて同じやうなるかたつむり
僕らもかたつむりから見たら区別つかないのかも
食べられて菌は消えてしまひけり
食べたから
こほろぎのゐる港には怖い船
初めて読んだ時、この句が一番好きだったんですが、今回読んでもまたこの句が一番好きな句です。子どもの持つ不安な精神は詩心とかなり似通っているんじゃないでしょうか。
この句集、まだ手に入るのかわかりませんが、オススメです。疲れて嫌になってしまった時は部屋を薄暗くしてこの句集を読んでください。何の解決にもなりませんが、癒されるかと思います。なんだか生きていけます。
鴇田さん、いつの日かまたバッタリ会えたら嬉しいです。
じゃ
ばーい