昭和61年8月15日永田書房発行『齋藤玄全句集』より
先日A子の大学の先輩とお世話になった先生と四人で飲む機会がありまして、いや、たまには僕も俳句以外の場所も行くですよ、ちゃんと挨拶ぐらいできますよ。
A子は卒論で南極のペンギンの食べ物がどうの、ってのを書いたらしく、一緒に飲んだI教授のお話もまた面白くて興味深かったです。
季語の話になりまして、朝顔が秋はわかるけど、なんで鯨は冬だろう、あ、狼も冬でエイは夏で、八月は秋だけど暑いしなぁ、紅葉は今10月までにはほとんど見れないし…。
遠くない将来四月に蝉が鳴く日が来るよ、と言われ、いかんですないかんですなと言いつつ、エイヒレをぽりぽり、たまには色んな人の話も聞いた方が良いなと思いました。
今日は齋藤玄さんの第二句集「飛雪」からです。なんと形見のつもりで編んだものなので、限定40部!全句集とはありがたーいものなのです。
身はここに感明の星ひた押しに
若い頃の句と思うと戦時ですし、命を噛み締めている感じがします。
なかなかに東京遠し雁供養
玄さんの北海道、ご飯は美味しいが東京は遠い。
初蝶や飲食いそぐ人ばかり
これも時代を考えてしまうと、命がきらきらと少し切ない。初蝶に救いがあるけど、そこもまた切ない。これ、好きな句です。
糞すてし藪を離れてほととぎす
男は黙って糞すてし
手花火の路地つづきけり西鶴忌
これなんかは今読んでも良い句。ほのかな人の匂いが良い。
冷し牛松に隠れてなまめける
牛「モーん」←なまめける
鶏頭にたばしる雨の茶碗酒
師の波郷の壮行の時の句です。茶碗酒も男です。当時の「鶴」の男同士のむわっとした温度に惹かれます。あ、古志もけっこうむわっとしてます。
一兵にそそぐまなざし雪の鵙
厳しさと美はいつもくっつきます。一兵も切なくて良い。
面上に迎ふる春の飛雪かな
前書きに「元旦、師波郷より軍事郵便来たる」となってます、そういう時代です。飛雪が厳しく美しい。
雪飛びて三日の酒の了りけり
さて、と。
うーむ、男だ、齋藤玄。お世話になっている人に飯田冬眞さんがいますが、なんでいつも玄玄言ってるんだろうと思ってましたが、同郷というよりも句の温度にハマっているんでしょう。
今度冬眞さんと「玄会」という宴をやろうと計画中です。メンバー僕ら二人だけど…。
じゃ
ばーい