薄い街は濃い 前半

2010.12.10 沖積舎刊行
佐藤弓生歌集『薄い街』より

僕は句評というのが苦手で、選で大体わかるんだから、あとは「なんとなく良いです、好きです」とかで良いんじゃないかなとか思ってしまいます。それがダメだけどちょっとは許されてしまうのが俳人で、多分許されないのが歌人なんじゃなかろうかと思います。

いやいや僕が苦手なだけで句評すごく巧い人もいるんですよ。周さんとか上田さんとか角谷さんとか。こういう人が一人居る句会はきっと幸せでしょう。

それでも歌人の評のみっちり感はすごいです。「なんか、好きです」とか言う人は一人も居ません、多分。

なんとなくある、この人は俳人っぽい、歌人っぽいという差の一つが、作品の評し方だと思います。僕、ズルイけど、どっちも出来た方が良いんだとは思います。いや、うーん、でも僕はやっぱりザックリが好きかな。

佐藤弓生さんの『薄い街』を読んで行きましょう。

まてんろう 海をわたってわたしたち殖えてゆくのよ胞子みたいに

まてんろうって平仮名で書くとういろうみたいで美味しそう。…でもない?

透明な指たちにぎりあうまひる春の墓場の花のこみちに

あはは うふふ

悲しいというのはいいね、濡れながら、傘を買わなくてもかまわない

悲しいというのも時にはいいよね。

大漢和辞典が燃えた冬のこと博士いままで知らなくてごめん

ごめんの軽さ、それと重さまで感じます。この歌、やっぱり「ごめん」が良いんでしょう。

黄砂の日くるまをとばすぼくたちは未来永劫この世の異物

いけるとこまでじゃんじゃん。

沛全とフィレンツェに雨降っていたフィレンツェにまだ行ったことない

これ好きな歌です。パスポートも無い僕にはフィレンツェを想像できないけど。良いなぁ、フィレンツェの雨、しかも幻。

どの人が夫でもよくなってくる地球の長い長い午後です

大きな気持ち。それが良いとは言わないけど。

触れちゃだめ正夢だもの 夏の夜こびとが嘗めにくる塩だもの

塩や塩辛が好きです、あ、小人じゃなくて僕の話。

この歌集、面白いので、もう一回やります。

じゃ

ばーい