2015.3.25 本阿弥書店刊行
『関西俳句なう』より
僕がお世話になり続けている友達と言えば久留島くんで、一緒に遊ぶたびに酔っ払った僕の介抱をさせてしまい、いやー、ほんとごめん、といつも思ってます。
久留島くんは関西人らしく、持ちネタがいくつかあって僕が気に入ってるのはこれ。
いやー、京は暑いねぇ。
と言うと、ニッコリ悪い顔を作って
盆地やさかいなぁ。
と言う。これは決まりで、これを言わせたくて、京は暑いねぇと僕は何度も言う。なぜだか知らないけど面白いのだ。
一度だけ久留島くんの恋人を紹介してもらって四人で食事をしたことがあった。
そこで初めて知ったのだけど、久留島くんは実は方向音痴らしい。
いつも泥酔した僕を宿まで案内させて、あぁ、無理させてたのね、ほんとごめん。
でも、これからもお世話になります。
さて、『なう』の三回目、今回は久留島くんと、岡田一実さん、良い組み合わせなので、今日は二人だけじっくり読んで行きます。ちなみに今回は往復書簡も面白かったので、『なう』をお持ちの方はそこもぜひ読んでみて下さい。
久留島元
大いなる才能の無駄芒折る
無駄こそね。
日本は妖怪の国春の川
賑やかで楽しい。
龍天に昇り枕投げてよこす
猛スピードで枕は。
きつね来て久遠と啼いて夏の夕
これ良いなぁと思っていたら色んな人が取り上げてましたね。まさか久が久留島の久から来てるとは思わなかったけど。それを聞いてから久留島くんが久遠と啼いているように見えて…。
迢空忌ゆえに電波が届かない
アンテナは零か百。
春休海から見える蛸の足
これも良い。蛸焼きが食べたくなる。蛸焼きって蛸が高くてあまり安く作れないのが悩み。
台風の目の中にいるおばあさん
「天才は下五に宿る」岸本さんの本に書いてあったけど、これもまたなかなかな下五だなと。
岡田一実
まづ光のびて生まるるしやぼん玉
シャボン玉に命がある感じが良い。
われわれの凧の不出来が昇り来る
これ大好き。楽しそうだなぁと。
コルトレーン桃のうぶ毛をふるはせて
ノリノリの桃のうぶ毛。
蟷螂のしづかに草を持てあます
食うわけでもなく、草だし。
雀蛤となつて夕餉の良い匂ひ
蛤「チュンチュン」
白鳥が白くてどうでもよくて好き
白鳥は白くていつも大きい。
墓石のうへに蜜柑の剥いてあり
中身を食べたのは。
岡田さんは句集『境界』も実に面白いのでオススメです。
じゃ
ばーい。