平成2.11.20 富士見書房刊行
俳句研究別冊 能村登四郎読本
毎日飲み歩いているように思われていますが、飲みに行く回数は案外少ないんです。月に数回ぐらいじゃないかなと。人に迷惑をかけるのが嫌だからあまり行かないようにしている、と言うと、妻がびっくりしたような顔をしました。いやいや、そんなことも考えています。
そのかわり、ガバガバと毎日家で飲んでいます。仕事のストレスなのか、飲まないとやってらんない。
ビールは高いのであまり買ってもらえません、日本酒が一番好きだけど、すぐに飲み干してしまうので、これも安いやつしかなかなか買ってもらえません。
ウィスキーをロックで毎晩飲んでいます。
最近、吉村昭のエッセイに、昼から飲むやつと強い酒を薄めずに飲むやつは早死する、と書いてあったので、もうちょっと何とかしようかなと思ったわけです。
登四郎『有為の山』より。
薄墨がひろがり寒の鯉うかぶ
鯉だよ。
寒き夜のいづこかに散る河豚の毒
だれかに当たる。
さくら咲きしばし山河に浮きごころ
うきうき浮きごころ。
見返り阿弥陀春惜しむかにふり返り
あれは、春を惜しんでいらっしゃる。京都の春はいいよなぁ、と。
水あれば皆ほとばしる青信濃
安曇野も、いいよなぁと。
炎天をたたへて老はのがれ得ず
くたくた。
夏からのつづきの痩せや露ごろも
ずっとくたくた。
病む妻に嘘いくついふ枇杷の花
優しさゆえに。
これやこの重く冷たき漬菜石
これがこの、ずっしり。
それぞれの命見て来し涅槃の日
わらわら。
やはり死は寂しとて食ふ酢牡蠣かな
酢牡蠣をちゅっとやりながら。死ほど寂しいものはない。
竹植うる始終が見ゆる裏の窓
俳人大喜びの窓。
昨年よりも老いて祭の中通る
すたすたと。
僕は後半に行くほど登四郎の俳句はいいんじゃないかと思っています。老いに芸を感じます。
じゃ
ばーい