平成27.10.1 恵曇舎発行
鎌田俊句集『山羊の角』
初めて『俳句年鑑』を買ったのは確か2005年。その頃は大学生で、若い俳句の友だちなんて一人も居なくて、俳句の総合誌は唯一情報を得られる手段であることから今の何倍も熱心に読んでいました。
初めて買った年鑑は思い入れがあり、特に20代30代の俳人のところは、一行でも名前が出ている人は、全員覚えていたと思います。日本のどこかには僕と年齢の近い俳句をやっている人間がいるんだ、と不思議な気持ちがしたもんでした。
初めて買った総合誌の若手に三人だけ赤ペンで印を付けていた人が居ました。もちろんその中の誰とも会ったことはなかったけど。
村上鞆彦、大谷弘至、鎌田俊
高知大のパソコンで三人のことをせっせと調べ、句や文章を印刷したことを覚えています。
今でこそ村上さんや主宰には迷惑しかかけていないけれど、あの頃の僕には憧れの若手作家でした。
で、その憧れの若手作家のもう一人が鎌田俊さん。今日は鎌田俊さんの句集『山羊の角』を読んでいきます。
義仲の最期のくだり息白し
まさに義仲の最期。
都鳥またも女難の相といふ
僕は土佐の占師から水難の相だと言われたことがある。ちなみに泳げません。
蟷螂の桜のいろに枯れにけり
翁。
丹頂の光のなかに凍てにけり
命が澄んでいる。
鮫にしか聞こえぬ海の音があり
激しく生きるものの。
不細工な巣箱を高く掲げけり
手作り感が良い。
数へ日のひと日ひと日を遊びけり
懸命に、遊ぶんです。
売られたる喧嘩や四万六千日
勝つべし。
たい焼や膨らんでゐる小銭入れ
巣鴨感がある。巣鴨は食べものが美味しいので好きです。
食堂にサイダーつぎて島の昼
そんな暮らしがしてみたい、二、三年。
ばらの雨白い鯨が来るだらう
美しい夢のような句。これはやっぱり白鯨じゃなきゃ。
眠りゐて山は魚の夢をみむ
大魚もいいし、小魚も楽しい。
鳥帰るひとの記憶をこぼしつつ
思い出ぽろぽろ。
横顔の佳き鯛焼でありにけり
鯛焼は美しい方がいい。
ずる休みして雪だるま大きくす
それぐらい、したっていい。楽しんだ方がいい。
天上に鳳凰のゐる母の日よ
大いなる母。
千年を滝まつさらに落ちてをり
常に新品。
白酒(ぱいちゆう)の栓を抜きたり大旦
これはめでたくて良い。昔、酔拳の真似をして遊んでいたら、武術の先生に褒められたことがあります。
人類を少し離れてハンモック
心と頭をやわらかく。
さすが鎌田俊さん、素晴らしい句集でした。
じゃ
ばーい