平成11.8.20 壱岐坂書房刊行
『篠田悌二郎選集』より。
二十代の頃は滅多に病院には行きませんでした。フルーツをもぐもぐ食べて、布団にくるまって寝ていれば、大抵の病気は治ったような気がします。
三十代になると、わりとあっさり病院に行くようになりました。
もう、フルーツを食べて寝ているだけでは治らないんだなと、少しさみしく思います。今日、インフルエンザだと思って病院に行ったら、大丈夫でした。良かった良かった。
じゃ、悌二郎さんの『青霧』の続きです。
山をゆき谿ゆきいく日蟬鳴ける
目で見て、耳で聞いて、気持ちの良い句。忍者ハットリ君の歌を思い出しました。
梨ふくろしろし秋の日しんと照り
梨ふくろ連作ではこの句が好きです。白いものなんだけど、やっぱり白い、梨ふくろ。
ひそと来て暮雪にひかりたなご釣る
ひそと静かなたなご釣。
たなご釣暮れし雪もて手を洗ふ
手が冷た。暮雪の言葉の美しさを好んだのでしょうね。
青霧の夜の坂をゆきおもひたり
行き思ひたり、では作者は嫌なのでしょうね。ゆきおもひたり、のもやっとした感じが面白い。
雪古りて硬し鍬もて掘り起こす
古き雪、では美しくない。ゆきこりて、の音が美しい。
初蛙こよひをとまる村に入る
良く言えば風流な。期待できる宿かはわからないけど。
朝涼のあつき味噌汁ふきつ吸ふ
美味しそう。ふうふう。
憩ひつつ秋日のもとに言すくな
これも好きな句です。憩うという表現がぴったりした句、静かな光を感じます。
ゆっくり読んでいるので、まだまだ続きます。
じゃ
ばーい