2013.9.14青磁社刊行
『魚目句集』より。
鉄線を大事に育てています。わさわさと繁ってきて、蕾がたくさん付いたので、今年は結構咲くんじゃないかなと。
蝶が来るような、そんなベランダになると嬉しいけれど、蝶が来るというのは、芋虫系も引き受けるということ。
僕の大切な鉄線の葉をむしゃむしゃ食べている尺取虫を、ごめんと思いつつ剥がし、強く生きろと、近所の茂みに投げ込みながら、鉄線が食べられるのは、困るなぁと…。
幼虫は来なくて良いけど、蝶だけ来てくれたら良いのに…。
うまくいかない。
さて『崖』の続きより。
伯父と父昼湯豆腐の火を囲み
大人の昼。伯父と父というのがいい。魚目さんの句はだいたい大人の味がします。渋い、うまい、たまらん。
われ墨書暗闇に田は冰りつつ
外は寒い。寒いと心がぴんとする。
黴餅を焼きながら食べ信じあひ
大丈夫大丈夫。
寒苺たべて一刻ほど榮華
幸せは苺にあり。寒の一字がまた美味しそうに見せる。
弔問のわれに冬川そふ如く
細く長く白く。
氷食ぶ雀の影が草中へ
ごそ。
薔薇の上蜂の甲冑鳴りにけり
薔薇豪華、蜂もまた豪華。
苺狩金貨の如く日を仰ぎ
そう、あれは金貨。色彩のせいか、ルオーの絵を思い出しました。苺も日も、人も美しく。
一瞬の豪華花藻に雨の束
一瞬の美。そうでもないもを、豪華に。
魚目さん、面白いのでゆっくり味わいたいと思います。『崖』あと少し残していますので、それは次回。
じゃ
ばーい