2013.9.14青磁社刊行
『魚目句集』より
とある学生中心の句会にちょくちょくお邪魔しているのですが、暇なのでわりと早く着いてしまい(仕事後歩いていける)、隅っこに座ってものも言わず考え事をしているかのように静かに皆が来るのを待っています。
実は何にも考えてなく、ぼーっとしているのですが、あんまり馬鹿に見えるといけないので、歳時記をめくったり、扇をぱたぱたしたり、頰杖をしたりしています。
実は、そんな時は何にも考えていません。
ぼーっとするのって、それはそれで贅沢で楽しい時間です。
魚目さんの第二句集『秋収冬蔵』より。
島彼方積荷の凧が繪を累ね
荷物は凧、だいたい凧。
凍光や蟹漁る舟を目つぶしに
とりすぎてはいけない。
まひるの手いま墓洗ふ水鳴らし
「まひるの手」のふっとあの世感。
秋水を魚落ちゆけり人の息
あわれは魚か人か、いや秋か。
冬に死す青繪の皿に舟と波
冷たく永遠の舟と波。赤絵ではいけない。
白魚やなみだが紙に落ちし音
もっとも好きな句の一つ。ぽてりという音が心に響いてくるような句。
短夜のゆめ鰭よりも白き月
ここで鰭が出てくる。
馬もまた歯より衰ふ雪へ雪
美しい馬だけに深くかなしい。雪の白さが目にしみる。
秋の晝筧へあゆむ長子あり
秋だけにある透明な昼を。
ひえびえとただ白きもの鶴病めり
魂まで白く冷えていて。
名句だらけですね、ゆっくり読んでいきましょう。
じゃ
ばーい