2013.9.14青磁社刊行
『魚目句集』より
先日、熱を出しながらも休むわけにはいかず、最後まで仕事をして、くらくらしながら帰ってくると、机の上に結社誌が…。
封筒の上に雑誌が置いてあるので、おそらく妻は中を見ているはずだけど(たまたまこの日仕事が休み)、一言も触れてこないということは、あぁこれはかなり成績が悪いなと…。
熱でくらくらしながらページをめくると、おぉ、五句欄は一句掲載、三句欄は全没と、なかなかひどい。
あぁ、ひどい、苦しい、あぁ、辛いと苦しんでいましたが、翌日になるとなんとなく平気になる。
さらにしばらくすると、僕の所属している雑誌、厳しくて素敵、と良い方に考えるようになります。
月末に結社誌が来るたびに、呪われているかのように、ぎゃあぎゃあ騒いでお腹を押さえながら呻きます。
が、やはり翌日になると平気になります。
そんなことを繰り返して10年ぐらいですから、案外僕、元気だなぁと。
だいたいのことは、ぼーっとしている間に、なんとかなるもんです、多分。
『秋収冬蔵』の続きから。
鳥寄せてまたあそぶ木や薺粥
薺粥を食べながら、心は鳥に、木に。
白屏風谷の魚どちさびはじむ
白の一字が非凡ですね。金でも銀でも駄目ですし。
舟施餓鬼魚の姿を真上より
へー、魚の真上だ。
悼むとは湯気立てて松見ることか
悼むとは、そうであっても良い。魚目さんの句を読んでいると、松を詠みたくなる。
しぐれつつ木の花うかぶ高さかな
うすうすと見えるもの。
囀やあかあかと積む松の薪
松はあかあか。
ひやひやと水の落ちゆく山の中
冷たく清潔な。軸の中の世界のような感じもある。
鳥けもの驚かす冷え古き村
古き村には鳥けもの。
山間の雨の長さや赤き桃
つるつるつると。
一睡のゆめ木賊より鶉出で
ひょこ感。
終の雪一ひら亀にのりにけり
一瞬の美が亀に。
かたつむり木にねむりをる秋祭
かたつむり「秋は好きだよ」
すぐ氷る木賊の前のうすき水
有名句。「うすき水」が見事ですね。うすうすとしたもの、ささいなものに対する美へのアンテナがすごい人です。
良い句集なのでゆるゆる読みます。
じゃ
ばーい。