2013.9.14青磁社刊行
『魚目句集』より。
酔っ払って転がりこむように家に帰って来ると、柳家喜多八さんが亡くなったというニュースが…。
全く覚えていないけれど、僕は「大好きだったのにー!」と叫び、「うー」とか「あー」とか唸ってバタバタしたあげく、パタンとそのまま寝てしまったらしいです。
談志さんが亡くなった時は立川のラーメン屋に居て、テレビの速報でそのニュースを知りました。僕は店内で「談志が死んだ!」と大きな声を出してしまい、お客さん四、五人がこちらを振り向きました。
人が死んでしまうことは哀しい。会える人にはたくさん会っておいた方が良い。寄席に行った方が良い、歌舞伎座にも行った方が良い。
妻よ、お小遣いを下さいませ。
『紅爐抄』の続きより。
やや山に入りて古りたる雛の顔
山国に立派な雛様。
雛の顔いよいよ海に遠ざかり
山又山、山国には立派な雛様。
昼の酒蓬は丈をのばしけり
目的はなく、なんとなく飲む昼酒ほど美味いものはない。
行く春の雨にきのふの雉子の顔
雉子を思うかな。
見るからに老いたる木なり氷水
ほぉ、これは老木、よき老木。
ひらひらと忘れ扇や虚子の顔
好きな句です。思い出が涼しい。
夏帽子素十の眉は白かりしや
素十は冗談を言って人を笑わすイメージがある。どんな人だったんだろう。
手をひくもひかれるも秋島めぐり
僕は「島の秋」という言葉が大好きです。この句もそんな感じがある。
大志ありて昼寝欠かさぬ人なりし
「俺はまだ本気出してないだけ」って漫画がありますが、好きなやつです。
水澄むや花鳥諷詠柱とし
季語の選び方が新しく、しかもくさくない。
きのふけふ立てたる畝か初しぐれ
さらさらと降る初しぐれ。
虻の顔十ほど空に神の旅
虻 虻虻 虻 虻虻虻 虻 虻 虻。←十ほどの虻。
冬の日の赤楽それも大ぶりな
それもなんと。「冬の日」とくると、どことなく七部集を思う。
叡山の夜をぼたぼたと赤椿
ぼたぼたは赤い方の椿。
虚子焚火でで虫のよくうごく庭
見ているか、見ていないかのように見る。
この句集はここまで。魚目さんはまだまだ続くけど。
じゃ
ばーい