自生地ににょきにょき生えてきちゃうもの①

2017.8.31東京四季出版刊行
福田若之句集『自生地』より。

先日楽しいメンバーで飲み会があり、若ちゃんも一緒でした。
会ったことがある人はわかると思うけれど、彼は綺麗に笑う、笑顔が良い。僕みたいに酔ってふにゃふにゃになるのとは大分違うのだ。

そのとびきりの笑顔で「麒麟さん、第二句集楽しみにしてますよ」

と言ってくれて、おぉ、ありがとう!と答えたら、彼はまた素敵な笑顔で「鳩ですよね?」と。

いや

僕の次の句集は「鴨」です。

どこから鳩が出てきたんだと、そんなところも若ちゃんは楽しい。

久女はまだまだ10回ぐらい続きそうなので、先に福田若之句集『自生地』を数回やろうかなと。話題になっているし僕がいまさら書くこともないかもしれないけど。正直に言うと、飲み会で若ちゃんの句集を褒め称えようと思って、句を抜いて準備してきたのに、酔っ払ってしまって、褒め称える前に飲み会が終わってしまったということもあります。

それではさっそく。

歩き出す仔猫あらゆる知へ向けて

世界は危険と、わくわくが待っている。

僕のほかに腐るものなく西日の部屋

今日も昨日と同じように終わり。

かまきりが網の目をすりぬけて来る

無駄無駄、全然通れる。

枯れ芭蕉俳諧安らかに眠れ

寝たふりしては時々起き。

むにーっと猫がほほえむシャボン玉

この猫は、若ちゃんかもしれない。好きな句。

流星がガススタンドの灯へ曲がる

ぐいってな。

暗いものが朝顔を抑えつけている

朝だから朝顔が咲く、少し前に。

初詣に行こうよぶっ飛んで、いこう

青年は神社を目指す。

雨しきり短い夜であることを

言う。

盗み飲む牛乳は冷たいだろう

キンキンに冷えてやがる。

まだ続きます。一冊の本として、とても魅力的です、ぜひ触ってみて下さい。

じゃ

ばーい