にこにこ容顔にこにこにこ

樋口由紀子句集『容顔(ようげん)』(詩遊社、1999)

さて、きりんの部屋を書かなければ(現在28日、19時!)、早く送らないと・・・、叱られる、28歳にもなると叱られると結構辛いのだ、心がズキズキするのだ、明日会社に行きたくなくなるのだ、あぁ嫌だ、早く書かないと・・・、何かないか、何かないかよ、僕の可愛い鞄ちゃん、おぉっ!よしこれがある、今回は川柳でいこう、樋口由紀子さんの句集『容顔(ようげん)』が入ってた!良いね!これやろう!よしやろう!

そもそも俳句と川柳の違いは・・・、やめた、それはまた違う時に、小田急線は揺れるのです、だからまたの機会に、だいたいね、俳句か川柳の違いがどうのこうのと語れるほど、きっとほとんどの俳人は川柳を読んでないと思います、少なくとも僕は読んでません(威張る事でもないけどさ)、ここで俳人のみなさんに質問!川柳の句集を何冊持ってますか?もしくは読んだ事がありますか?

ギャアっ、良いとこなのに電車が揺れて、痛い、ひじが!痛い、それ!

神様「金が無いやつは都心から離れて家賃の安いところに住むのだ、東京では「快適」というのは金で買うのだ!この甲斐性ナシ男が!」

どうでもいい、痛いから、揺れんで・・・。痛いけど叱れるから早く書き上げるぞ~。あぁ暑い、梨が食べたい。

話を戻すと、みなさん(特に俳句の人は)持ってないし、読んでもないでしょ?興味はあるんです、ただ本屋さんで手に入るのは、せいぜいセレクション柳人ぐらいです、これだって尾道(実家)には売ってません。
僕は川柳が読みたい時は、国会図書館に行ってます、でもね、そう滅多に行けませんやね、遠いしさ。

ありがたい事にこの句集は作者の樋口さんが送ってくださいました、ありがたやありがたや。

面白い句集(歌集)を、手にした者のやるべき事は、大きな声で「面白いよ~」とあちこちで叫ぶ事です、そしたらきっと、本(句集も歌集も詩集もね)が喜ぶ、きっとそうです、本というのは読まれてナンボです。

電車で揺れながら無心で書いてますが、なんだか長くなりましたね、あぁ通勤が辛い、都内の職場の近いところに・・・に、いや、別に住みたくないもん。

さ、やっとこさ、ページを開きましょ、出発!

ラムネ瓶牛乳瓶と割つていく

日常生活の中での破壊、そういうのは妙な迫力がある

念のためフランス人形差し上げる

何のため?
念のためです。

ちょっと湿っている山高帽子

ちょっと、でとても面白くなっている

悪になるオニオンスープ召し上がれ

と宣言されながら出されたスープ、ニコニコしている様が見える、「さぁ召し上がれ」

むこうから白線引きがやって来る

省略によってこっちが、勝手に不気味な想像をしてしまう、きっとこの句集の中にポンとあるからだろう

鳥たちが三面鏡からいなくなる

消える、では駄目、いなくなる、が「失う」という感じして良いですね

空はまっくろ積立貯金解約する

良いですね、好きな句です、僕も毎日空はまっくろです

ねばねばしているおとうとの楽器

あぁ不気味、ここは弟じゃなくて「おとうと」が良い

つぎつぎと紅白饅頭差し出され

あまりに笑顔の人はなんだか怖いのと一緒で「めでたい」物が溢れていると、これもまたなんだか怖い

アフリカの王ならくよくよはしない

これは有名な句ですね、ね、僕もタフになりたい

満開の桜をさらに追いはらう

「さらに」のだめ押しが良いですね

できるだけ象を怒らせ月を待つ

「できるだけ」がうまくはまってます、この句は好きな句で、ムシャクシャしている時とかによく思いだします。

山脈を横にぬけてもFM放送

FM放送が面白いようだけど、実は「横に」がうまいのだと思う

しあわせはグリコのおまけ転がして

グリコのおまけほどでも良いからしあわせはになりたい

わたくしのなかの兵士が溢れ出す

狂気やら力やら破壊衝動やら、「兵士」とは実にうまい

おそろしい約束がある左腕

おそろしい約束、秘密めいた感じが良いですね

満月や金魚を深く地に埋める

悲しみから、罪悪感まで複雑な気持ち、この満月に見られている感じがやるせない

父が逝く籠いっぱいに春野菜

春野菜の明るさがより悲しみを引き出してます

父の死後爪切ることも不思議なり

無気力にパチンパチンと爪を切る様子が悲しい

草原のキリンに戻るレントゲン室

僕は勤務時間が終わると「麒麟」に戻ります

魚に似ている人を追い抜く昼下がり

別に魚君でもアナゴさんでもない、そういう事じゃない

月の出やハイソックスはひっぱりあげる

ひっぱりあげるの「あげる」に迫力が出ている

黒板に名前を書いて眠ろうか

ここにいるぞ、と書く事によって安心したい、ちょっと切ない。

世の中には悲しみが溢れていて、せめて詩歌の世界では喜びを詠みたい、それもまた正しいとは思うけれど、僕は、きちんと狂気を持っている人の作品を読むのが好きです、前回やった石川さんの短歌、今回の樋口さんの川柳、良質の狂気を味わう事ができます、詩歌における「狂気」は大きな才能の一つで、読者に次のページを見せてくれ、と思わせる力を持っています。

今、狂気渦巻く朝の小田急線です、昨日途中で倒れるように寝てしまいました、原稿が遅いとスピカ三姉妹に叱られる・・・、あれやこれやの言い訳を考え、どの角度から謝れば、そんなに叱られないか考えてます、とかここに書いたら駄目だった、ここスピカだった、ひぃ、次こそは原稿を前日までに、ひぃ

あーぁ、よし、仕事に行こう、よし行こう