谷岡亜紀 歌集『臨界』(雁書館、1993)
いやー、悪気があるわけじゃありませんが、元気がありません、横になったままつげ忠男の『無頼平野』を読んでいます。
以下『無頼平野』から好きな台詞を書き抜きます
「結局駄目なんだよ……なんかしら邪魔が入ってよ………」
「俺は…………どこかでうまくやる………」
「違うねん……何もかも違うねん」
「そうそう毎日がねずっと続いていく訳……」
あぁ面白い、いやいやいや、駄目になってしまう、あっ、今日は日曜じゃないか、何をやってんだろう僕は・・・、はぁ~、でもでかけるのもなぁ・・・。
と、こんな腐った気分の時に読みたい歌集がある、僕が持っている数少ない歌集の一つ、谷岡亜紀第一歌集『臨界』、さ、この腐った気分を吹っ飛ばしておくんなさいもし。
ささ、出発!
逃走は今日もなされずターミナル駅に日暮れの電車を待てり
どっか行っちまいたいぜ
何階へ行くべき今日のわれなりやエレベーターのドア鈍く閉ず
僕は本当にこれで良いのかな、と思う時に思い出す歌
どこまでも昇りゆきたきに階段は途切れ真昼の屋上に出たり
あぁどっか行っちまいてえ!(今日はそんな気分)
冬空の広さを映す水面をあああんなにも雲が流れて
北に行きたい
単車群青き市街を駆け抜けて夜明けに熱き 同時代!
尾崎的な気分で
浴槽を淋しく満たすコカコーラのごとき入浴剤にまみれつ
もうシュワってしてぇ!でもコーラ色は嫌・・・
開戦の前夜のごとく賑える夜の渋谷に人とはぐれぬ
汚ねぇ街だぜ、ぺっとガムを吐き出すのが好き、やった事ないけど
うるとらの父よ五月の水青き地球に僕は一人いるのに
ほんとよ、なんとかして
何事も起こらぬビルの空見上げキングギドラを今日も待ちいる
この歌を知った時から僕は谷岡さんのファンで古本屋を探して『臨界』やら『アジア・バザール』やらを買いました、カッコいいんだもの、俳句は山田真砂年、短歌は谷岡亜紀、が男です。
僕もねぇ、キングギドラを待ってるんだけど、出ないねぇ・・・タハ。
傍らで幼き日々を眠りおるおまえ世界はやがて朝だよ
朝だぜ、とカッコ良く言ってみたいけど、きっと言わない
都市からのすっぱい風に吹かれつつ潰れた月を空に見ていき
あぁやるせないぜ、僕は東京に初めて来た時、こんな空気が汚いとこでよくみんな生活できるなぁと思ってましたが(僕は喘息だったから空気に敏感)、慣れるんですよね。
いつまでも沈まぬ夕日を追いかけて王国へ飛ぶ機中に眠る
革ジャン、ブーツとかで失踪してみたい、あ、持ってなかった、無理だ・・・。
十三歳の娼婦アンナは遠い国日本のことをわれに問い来ぬ
あぁやるせない
こころもち顔を赤らめ「東京!」とおれはお前の名を今日も呼ぶ
長渕よりも熱く!
貧しさをむしろ誇りて真剣な遊びのごとく彼ら働く
僕も強くならないと、うーん、難しい、僕すごく無気力だしなぁ。
われによく似た一人あり貧民街(スラム)にて金せびり来し乞食の中に
麒麟によく似たのがいたらぜひあげてください、本人かもしれません
人格が破壊するまでこの街に遊び再び戻らずという
遊びを句会に置き換えてみたら、ウヒャアと怖くなった
町を出て大河を越えて流星が飛び交う丘に列車を待てり
さ、帰るか、とか言ってみたいけど、男振りが足りないので言えない
さらば海さらば革命僕たちは腐ったトマト壁に投げつけ
チクショーウ!バカヤロー!と言いたいけど気が小さいので言えない
他人(ヒト)がみな敵に見える夜ガレージに熱少し持つ単車を磨く
ギラギラしたいね、こうトガッテさ、僕ねもう丸くてさ・・・いかんいかん
どこへでも運べ方船、歌舞伎町スナック「波止場」よりも遠くへ
うん、もうちょい遠くへ
ネオンサインの「愛」の一文字淋しくて昨日(イエスタデイ)という名のホテル
キャッとなるぐらいのクサさがカッコイイ、昨日と書いてイエスタデイと読もう
「都市という名の劇場に生かされている僕たちは遊ぶ、苦しく」
もがきつつ遊ぼうぜ、ジタバタしよう
物語ひとつ始まる夜と決めて今夜夜風に流されてみる
さぁ、どっか行こうぜ
よーし、元気出てきた、元気出てきたぞー、でもちょっと、うん、昼寝してから、旅に出ようかな、いやいや出るよ、昼寝してからね、日曜日だしさ。
あぁハードボイルドは遠いぜ
そんじゃ、バーイ