ワッショイワッショイワッショイワッショイ!そ~れそれそれ植物祭~♪その1

新学社近代浪漫派文庫39前川佐美雄/清水比庵
                   2007.2株式会社新学社発行

初めて会ったyoungな子はよく、良かれと思って、「きりんさんは歌手誰が好きですか?」と聞いてくる、これがなかなかやっかいな質問で、こう、なんて言うか、嫌われたくないじゃないですか、僕70~100歳ぐらいの人となら話合うしわりとすぐ仲良くなれるんですよ、それが30歳以下となるとなかなかどうして、そんなに好かれないのですいや、辛いじゃないか、僕はサビシイのです。僕だってほんとはyoungな友達がたくさん欲しいんだ、Oち君みたいに素直に「GLAYが好きッス、パネ~」(注、実物はパネ~、とか言いません、ごめんOち君)、とか言えば良いんですが、そこはイヤラシイきりんさんでありますから、何て答えれば良いんだ、うーん、多分「椎名林檎」じゃなくて「東京事変」と言った方が良いぞ、なんか知ってそうだし、「筋肉少女隊」と「ブランキー」が好きな事は伏せておこう、「ダフトパンク」と答えたら話ここで終わってしまいそう、ほんとは全然知らないけど「フジファブリック」と答えたらモテるか、いやだめだめ…、と難しいのであります。

そこで結局顔をヒクヒクさせながら、「い、イエモン(お茶じゃねぇよ)が好きよ、べいべ」と答えるのであります(いやいやほんと好きよ、嘘っぱちじゃないよ)、あー、あー、young達、どうすれば君達と仲良くできるんだろうか、べいべ、みんなあつこ姉さんみたいに、落語と俳句が何より好きよ、って人ばっかりなら良いのに…

歌…、歌…、短歌、そうだ!短歌を読もう(やっと本題だ、スピカ三姉妹にいつか怒られそう、そもそも長い!とか)、突然ですが(ホント)前からやりたかった前川佐美雄やります、人から好きな歌人誰?と聞かれたら、僕は昔から、coolな顔つきで「もちろんサミオよ、そこんとこヨロシク」と答えます、ま、珍しい事でもなくて一番好きな歌人が前川佐美雄という人は結構いるんじゃないですかね、今回読む『植物祭』を歌集の最高傑作と呼ぶ人も多いかと思います(多分)、ちなみに『植物祭』は昭和5年(1930)に刊行、この時、佐美雄27歳、麒麟、この夏29歳、あー、もう良い、さ、読むぞ読むぞー!

かなしみを締めあげることに人間の力尽して夜もねむれず

最初の一首、伝説の歌集はここから始まります、ね、わくわくするでしょ?
さぁみんな、かなしみを締めあげようぜ!グイッとな

人間の世にうまれたる我ならばかなしみはそつとしておくものなり

たまにね、ぽんとね、背中を優しく叩かれたい、そういうのもまた大事よ

幸福のわれが見たくて真夜なかの室(へや)にらふそくをつけしなり

うぅ泣ける…、でも僕ならやっぱり見たくなくてふっとロウソク消すな、多分佐美雄もそう、きっとそう

子供にてありしころより夜なか起き鏡のなかを見にゆきにけり

ここじゃないどこかが見えてしまうかどうか、それも多分才能なのだと思います、最近なら石川さんの歌集に同じ事を感じました。

このうへもなき行(おこなひ)のただしさはいつか空にゆきて星になりたる

ただしさなんてね、正しさなんてね、と震えるような佐美雄の魂が好きだ

百年このかたひと殺しなきわが村が何で自慢になるとおもへる

白泉の句じゃないけど、たまには気の狂った馬になりたいぐらいの気持ちがある方が、そっちの方がほんとなんじゃないかと思う、そうじゃない?

なにゆゑに室(へや)は四角でならぬかときちがひのやうに室を見まわす

有名な歌ですね、この歌ね好きなんですよ、僕近道とか好きじゃなくて、自分の慣れた道が一番好きなんですが、こう行けば近道と言われると、そうじゃない、そうかもしれないけど、そうじゃないんだよ、と思ってしまう、そういう事かなと、え?違う?でもまぁ…ね

丸き家三角の家などの入りまじるむちやくちやの世が今に来るべし

むちやくちやの世と言われるとなんだか、すごくムチャな世の中を感じますね、これも天才的に繊細な佐美雄ならでは

室の隅にあかるい眼(まなこ)をもとめゐるあはれねずみよそこにゐてくれ

わかる、そういうのわかるよ、ゐてくれ、がグッと泣かせる、こういう時ってね、あるんですよ、ほんとだよ。

なまぐさいこの牛の舌もおとなしく食べねばならずと眼をふたぎをり

反抗期か!?ってそういう事じゃない?良いじゃん牛タンうまいじゃん別にさぁ、とかきっとそういう事じゃないんだろうな…

晩もまたあのいかめしき金頭魚(かながしら)が膳にのぼるかとひとりおそるる

好き嫌いか!?ってそういう事じゃないよね、この必要の無い恐れが佐美雄の天才

牛の舌金頭魚などと日がはりに食はされてゐてはたまらずやあらむ

嫌なら嫌って言いなよ、もー、何度も何度も、いや、これもまた佐美雄の天才、なのかな…

いまの世にめぐみなどさらにあるものかほつといと呉れといふ心なる

ほっといてくれ、そういうの嫌なのほんと、でも、ちょっと優しくしてくれ、背中とかさすって、という気持ち

どうしても駄目駄目と思ふ悲しさよ溝ほりになつても生きかねにけり

わかる、わかるよ…、駄目駄目と思ってしまうのは悲しい、でもね、あるんです、あぁ駄目駄目って時が、佐美雄の歌には慰めがないところが良い

胸のうちいちど空にしてあの青き水仙の葉をつめこめてみたし

超有名歌ですね、すんごい好きな歌です、僕がほんとに嫌な思いをした時や心が腐っている時、この歌を読み返します、あぁ佐美雄先生、僕のこの腐った胸にもつめこんでいただけないでしょうか…、世の中に「あの青き水仙の葉」より美しい表現があるだろうか、ないね、ない

あぁ少し、不思議と、心が満たされてきた。さてさて、僕のコメントは何の役にも立たないけれど、佐美雄の歌、良いですね、歌人達にきりんが短歌を語るなと怒られない事を祈ったりしながら、手を振りながらの、バーイ!