孤児のように霜の夜、部室のソファー 福田若之

スタジオジブリの、「コクリコ坂から」の中に出てくるカルチュラタンを連想する。私も大学時代映画サークル(見るのではなくて撮る方なのだが)に入っていて、その部室は荒れていてとても汚かった。ソファーは破けてて汚いタオルケットがかかっていて、誰かしら寝ている。慣れてくるとそんな部室でごはんも食べられるし、むしろ部室から出たくなくなって、授業に行かなくなる。そんな中毒性のある部屋だった。

霜の降りるような夜、ひとりでいると、本当にこの世で独りぼっちの気がしてくる。救われないような気分を救ってくれるのは、誰かと共有している部室のソファーだ。暖房器具ではないから決して温かいものではないのに、この句のソファーからは温かさを感じる。

 「≠」(詩客 2012年1月13日号)より