植物祭6

なんだかふっと寂しくなって談志のCDを買いました、何度も何度も聴いてるんですが、毎回同じところでタハッと笑うのは僕が酔っ払ってるからではないはずです、朝っぱらから談志を聴いて、機嫌よく日曜出勤をしているわけですが(みんな、僕ちゃんと働いてんですよ、いやほんと)、朝から乗客がどうもいけない…

座っている紳士なきりんさん、僕の右側に横に座っている鼻毛の出てるサラリーマン、立って新聞を読んでいる眼鏡の冴えないサラリーマン、あと僕の目の前には股をがばりと広げて寝ているおばちゃん、てめ、閉じよ、閉じよー、股!ってなもんで…

鼻毛の出てるサラリーマン「おい、俺の頭の上で新聞を読むなよ」

どうも鼻毛は寝ようとしてるらしい

眼鏡サラリーマン「…」

新聞をパラパラめくる眼鏡、あ、チャック開いてる、ブリーフを見せるんじゃない、閉じなさい

鼻毛「おいっ、俺の上でぱらぱら新聞読むなってんだよ、聞こえないのか」

鼻毛にハナクソが付いている、この鼻毛はダメだ

ブリーフ「わ、わたしがわたしのスペースで何をしようと勝手じゃないですか」

ブリーフ弱っ、ダメだこのブリーフ

鼻毛「頭の上でぱらぱらうるさいってんだよ」

もう寝ろ鼻毛!うるさい!

ブリーフ「あなただけ乗ってるんじゃないんですよ、勝手な人ですね」

だからブリーフ見せながら、なんだてめぇ、ブリーフ野郎!

おばさんの股がすーっと閉じて、おっ、良いぞ…、再び勢いよく

がばり!

パンティーを見せるんじゃない!お前らみんなダメだ、もうほんとダメだ、パンツみえてるようなやつはダメなんだよ!

正しいとか正しくないとかじゃない、ダメな奴はダメで、嫌なもんは嫌だ、もわもわもわっと心の闇が湧いてくる、そんな時は佐美雄を読もう、もっとほんとの綺麗な闇を覗こう

貧血をしてゐるとそこらいつぱいに月見草が黄に咲いてゐしなり

体弱っ、なんだか大宰みたいです、じっとして、それから帰ろう

ふつふつと湧く水のなかに顔ひたし爬虫類はゐぬかゐぬかと嘆く

ネクラっ!帰ろ、帰って一緒にシチューを食べてきりんのへやを見よう

ぞろぞろと夜会服が行く夕べごろああ何て我のたのしくもなき

くっだらねぇやい、嫌だいっ、と思う心は意外と楽しい

ゆるやかなメロデイのながれ眼をつむりテエブルの花を無心にむしる

うんうん、綺麗な歌と読んでと、まぁそこは佐美雄さん、むしっちゃうんですね…、愛でてるぐらいでは駄目、本物はむしる

カンガルの大好きな少女が今日も来てカ ンガルは如何如何かと聞く

有名な歌ですね、意外と今の若い世代の歌に強い影響を与えている歌なんじゃないかと、「なんで?」系の短歌はあと50年ぐらいは佐美雄の歌が大きな壁となるんじゃないかな…

植物の感じがひじやうに白いから何もおもはずに眠らうとする

「感じ」とか「ひじやうに」とか、思わず削ってしまいそうだけど、敢えて残す事によって、妙な味が出ているような気がします、セザンヌの余白みたいな、違うか…

君はまうカンガルなんぞを見て遊ぶ年齢(とし)でもないよと言ひ聞かせゐる

取り敢えずハローワークへ、違うか…

もも色の草花ら咲く五月なればいよいよたのしくなりて死ぬべし

「植物祭」は色んなとこで死ぬ死ぬ言ってる歌があるけど、佐美雄さん、かなり長生きされました、なんか勇気が出ます

ふつかほどわれに見られし草花は今日から君の室に置かるる

このなんていうか、言って良いのか、ちょっと変態的な感じ良い、リコーダー盗むぐらいの、あ、ごめん、違う、盗んだのも僕じゃないよ

うつくしき鏡のなかに息もせず住みをるならばいかにたのしき

孤独も人も、ほんとは大好きだと思う、歌集で読むとよく伝わる

誰も室にをらねばひよつと腹切りの真似して見しがさびしきなり

小さい頃映画で観たこめかみにピストルって場面を憧れてよく妄想しました、サラバ!とか言って、やんないけど、頭に穴空くのは嫌

誰もほめて呉れさうになき自殺なんて無論決してするつもりなき

ね、死ぬ死ぬ言っても死にません、ほんとに死ぬ奴は黙って死ぬ、みんな駄目よ、わめいて生きよう、もうダメだと思ったら俳句作ろう俳句、体に良いのは花鳥を詠む事だと思う、可愛いし、鳥。

青い空気をいつぱい吐いてる草むらにわれは裸体(はだか)で飛び込んで行く

僕は服ぐらいは着るけど、だから駄目なんだなぁ

わけの分らぬ想ひがいつぱい湧いて来てしまひに自分をぶん殴りたる

みっともなくも生きようぜ!

さてと、仕事行くかな、日曜だけど、そんじゃ、バーイ!