この前、る理ちゃんに「きりんさんは老いに憧れがありますよね」と言われました。あー、あるなぁ、と思います。なんかこう杖ついて、口はむにゃむにゃして、あぁ今日は晴れたねぇ、なんて言うのが似合う老人になりたいなと思うんです、俳句の世界は若いだけでチヤホヤしてくれる変な場所ですが、そんなに若い事って素晴らしいかなぁとも…。
いやでも多分素晴らしいんだろうけど、若い事は、うーん、でもねぇ…。
最近梅に鶯が来てホケキョと鳴いて、あー、お茶が熱くてうまいぜ、みたいな俳句が作りたくて、梅を見るんですがなかなかね、作れないんですよ、もう馬鹿みたいにありふれた題材で、面白い俳句を作る、そんな俳人になりたいなぁ。さ、京童さんを読もうかね。
手荷物に気をつけてゐる暖炉かな
全然心許してない
頼もしき音に燃え来し暖炉かな
でも手荷物に気をつけている、全然心許してない
その頃の炬燵のありし通ひ船
あぁ、あの頃の炬燵でありしよ、なでなで
湯婆の入れてありたる布団かな
優しいだけで良いじゃない、大事よ、優しさ
昭和9年だよ~
咲いてゐる菜の花のあり初詣
得した!
正月の休みの海女や海女どころ
海女どころ…、正月の休みの海女やって…、いやぁのびのびしてる
田中屋の奥の座敷の春隣
牛丼屋じゃないよ
暗き家にもえゐる春のゐろりかな
お前ん家いつも暗いな(ふかわりょう風)
雪どけの日向の径の女かな
女かなって女だよに近くて迫力がある
せせらぎの石の上なる春の雪
この石が可愛い、石の一字がなぜか明るい
満開の大木蓮や風の中
満開でしかも大木蓮だぜ、ありきたり過ぎる下五、風の中ぐらいが面白く響くのです、多分
買うて来し蛤し春の雁
三丁目の夕日か!鎌倉物語か!あ、どっちも漫画か、蛤のぎっしり感が嬉しい
はばかりにある行燈や春の雨
お前ん家はばかりに行燈あるな(ふかわ流)
後ろより沈丁かほる牛乳しぼり
クララが立った、関係ないけど
すぐそこのお宮の花を見に出たり
お宮が効いてますね、軽いだけじゃなくて、ちゃんと明るいんです、京童さんの俳句は。
さてと、梅でも見に行くかね、じゃみなさん、バーイ