京童さんをどうしょうかー12

先日久留島君が東京に出てきて、上田さんとサトアヤと僕との四人で昼飯を食べ何やら良き紅茶を飲んだり句会をしたりして遊んでいました。

いやー、久留島君が来るというので僕はてっきり昼酒をガンガンに飲むのだと勘違いしてまして、いやいや、でも僕今年29だからあまり人様に迷惑をかけてはいけないと思い、ウコンの力でノミカタ(ウコン的な薬)を飲み、よっしゃ、バンバン来い!と完全に勘違いしてました。上田さんとサトアヤが用事があって途中で帰った後で久留島君と餃子屋でバコバコ飲みました、あー楽しかった。

うっすら覚えているのが、サトアヤが神戸ではおっぱいをチチと呼ぶ、って話をし始めて、みんなで何かおっぱいおっぱい言ってた事と、上田さんがにこやかに句会をやろうと言い始め、飲む事しか考えてなかったのでかなりギクリとした事…。

あと何だっけ、あーだこーだ言いながらビール飲んでたら時間がきてしまったね、まぁ久留島君、また遊びましょ。

今日は京童さん、なんと最終回です、まさかの12回といったい誰が見てるの?みたいな長いシリーズになっちゃったけど、僕がやりたかったので仕方ない、さ、読んでいこうかな

昭和10年より

篝火に夜あけ近しや初詣

おぉ寒い寒い

初詣かがりあかりに浮かぶ杓

杓がプカリ

避寒地や日本一の大蘇鉄

あはは、楽しそう、出張かなんかですかね、どこ?宮崎とか?

部屋毎に燃えゐる春の暖炉かな

この俳句は57回、武蔵野探勝に出てきます、昭和10年4月7日ですね、これが京童さんの句が載っている最後の武蔵野探勝です。
よく観察して素直に句に納める技を身に付けてますよね。

春水や乳房の垂れし犬渡る

犬の下がハッハと見えて可愛い

芽すすきを植ゑたる土をふんでをり

ふんでをりってのがキュートだわ

春愁の触りたる手の冷たさよ

そんな日もあるのよ

葉櫻に食堂ありて撮影所

気持ち良いですね、葉櫻のざわつく音が聞こえてきそう

ほどきつつ句を案じゐる粽かな

それこそまさに俳人です、うんうん

散らばれる草履の上の蜥蜴かな

ひたひたひたひたっと走るのが楽しい

よく動く朝の金魚に病快し

金魚がいきいきしてる、水も透明な感じがする

ふところの餅を投げこむ芦火かな

京童さんはえいって投げそう

乃木邸の冬菜畑やささやかに

行ったんでしょうね、キリンノートによると…、この俳句は武蔵野探勝の時の俳句で、この時の虚子の俳句が

昼飯は泉岳寺にて短き日   虚子

ですね、これも良いなぁ、なんてなんでもないんだろう

暮れそめて暖炉の火色よかりけり

この「よかりけり」のまとめ方が京童さんが吸収したホトトギスの良さだと思います。

さ、全部読み終わってしまって寂しいなぁ…。

昭和12年3月の「若葉」の編集後記に

京童忌句会を放送局と合同で、蔵前工業会館に開きました。風生先生を始め、たけし、奈王先生その他ホトトギスの御連中も多数御出席下さいまして、非常な盛会でした。

とあり、句集の序文にて風生が

たまに君一人の姿を見えないことは、どんなにかこれ等の会を、もの足りなく感ぜしめたものであつた。

とあります。京童さん、人から好かれる人だったんでしょうね。

山本京童という俳人は、確かに天才ではないし、とてもスターとは言えない俳人だろう、けれども僕には、京童さんは好きな俳人です。

京童句集や武蔵野探勝を読む事によって、門人から見た虚子の人柄、風生やたけしの人物像、当時の句会の雰囲気、たかしや草田男の天才を感じる事ができる、そして何より、普通の真面目な俳句が好きな人が、ホトトギスの空気の中でどう育っていったのかが、この句集によく出ています。

そういうのもね、そういうのもきっと大切な事だと僕には思えるんです。

ありがとう京童さん、また読み返します京童句集、さ、来週は何やろっかなぁ

じゃ、ばーい