ハックション、ふ~、あ、白泉全句集を読みます 3

ゴールデンウィークなんてほとんど仕事でした、だいたい僕が句会に行くと、なぜいつも来ないのだ○○ちゃんはいつも来ているよ、だとか、○○ちゃんは頑張っているよ、と僕の胃を針で刺すような事言いますけれど、若者が土日いつも休みだなんて思わないでいただきたい、私仕事でございますよ。とゴールデンウィークが仕事でつまらなくイライラしていたら五日の夜に敦子姉さんからメールが…

「あらおかたいんだから、明日村上さんのとこでも行く?」

だいたいこんな内容のメールが来て、行く行くと即座に返事をし浅草は雷門に集合し、うまうま食べてそれから浅草っぽい飲み屋という事で、よく使ってるSへ行きました、さて僕らすでに飲んでいてさらにみんな明日休みとくればこれは上機嫌。

あいよっともつ煮がドンと置かれたら

村上兄さんは「優しく置いて」

とぶつぶつ言うのです。

で僕と敦子姉さんはけらけら笑って

またベーコンがあいよっと置かれたら

村上兄さんは「優しく置いて」

で僕らまたけらけら大喜び

村上さんは素晴らしい俳人である事に間違いなく、もうそれは若手なら一番であるかもしれない。それだけでなく、実は村上さんはあんな清らかでいて実はすんごく面白い。

村上兄さん「…でもね、ほんとはこういう店とか好きなんですよ、気持ちに裏が無くて良いじゃありませんか」

どっちだよ、とみんなまたけらけら大喜び、さっきまで「優しく置いて」って言ってたのに

村上兄さん「ん、僕は辛いのはあまり得意じゃないんですよ、このもつ煮少し辛いですね」

麒麟「あ、そうだったんですか?すみません韓国風の方頼んじゃいました」

敦子姉さん「普通のやつにすれば良かったね」

パクパクパクパク

村上さん「でも美味しいですね」

どっちだよとふたたび僕らは大喜び

でふらふら~、イェイ、と僕ら陽気に村上さん家へ向かいました。もちろんまた酒買ってね。

村上さんが好きだと言う「奇跡のクリスタルボイス」とか異名をとるらしいナントカたかしという歌手のDVDを観ながら楽しく飲んでました。

熱唱でした

村上さんはDVDに合わせて好きなところを好きなだけ気持ち良さそうに唄っていました、しかもそれがまた良い声で

ん?台所から海苔を取りに行った村上さんが戻って来ない、と覗いてみると

炙ってました、海苔を

またそれがピシーッと丁寧なんです、でなぜか妙にそれが可笑しくて僕らまた大喜びでけらけらけら…。

でなぜか落語のDVDを…

村上兄さん「麒麟ちゃん、彼の江戸弁は天下一です」

しかし面白くなりそうな感じのところで村上さんはピッと消してしまいました…

飽きてしまったのでしょう…

僕らは「観てたのにー」とぶーぶー言いつつまた海苔を食べ酒を飲み

ひどい話ですが当たり前のように泊まらせていただき、翌朝スックと起きた村上さんが

村上兄さん「ええ、すべて覚えていますよ、今回はすべて覚えています」

僕らは「お邪魔しました、ふわぁ、ゴニョゴニョ…」って言いつつそれぞれ帰って行ったのでした。

あ、村上さん、スカイツリーのお土産を僕の母に買ってくださったの覚えてます?

あぁそれで白泉全句集なんですが、やりますか?やる?僕もうマクラで全力出したけど、いや、やりましょう、今回三回目、ラストの白泉全句集です。
さ、読むよ

菊の香やめがねはづして睡るとき

うーん、香る

熊手売る冥途に似たる小路哉

めでたすぎると結構怖いもんです、行けばわかります

紅梅や地に結び置く犬の糞(ふん)

なんで、これを、詠んだの

老梅のじりじりつぼむ谷間哉

谷間である事でじりじりに怖いぐらい迫力が出てます

夏雲や召集令の走り書き

こんなもので…、とわなわなしたんでしょうね…。

海兵に夏ゆふぐれのながさかな

あぁ、あぁ、不安だ…

芋畑を三○三(サンマルフタ)空基地と言ふ

なんだってんだよ!という怒り

めつむりて打たれてゐるや坊や見ゆ

畜生…。大きな目でじっと見ているのが見えます。

五分間かくるるすべを垂れ給へ

五分がものすごく長い地獄…

玉音をうなだれ聴くやわれら兵

ぐったり…、なんだったんだろう…

いくさすみ女の多き街こののち

今度は生き抜く闘い

這ひまはるするめのあしの煙かな

するめにゃ悪いけどうまそう

頂上で靴下を脱ぐ花の山

リラックスするとは靴下を脱ぐ事です

行雁の僕を見てゆく一羽かな

おーい、と言いたくなる、やはり「僕」が良いなぁ

おらは此のしっぽのとれた蜥蜴づら

そんな事言わないでさぁ…

わが頬の枯野を剃ってをりにけり

…それは、髭ね

マリが住む地球に原爆などあるな

マリとマリオでは句の印象がかなり違いマリは何とも可愛い

一粒の露の楕円を愛しけり

すごいよくよく見てみた

虚子や青畝のようにたくさん句が残ってる作家も一生楽しめるけど、たまには濃く短く駆け抜けた作家も良い、白泉改めて読み返すと変な…、いや、面白い句がいっぱいございました。

来週は何やろうかな、そんじゃ

ばーい