日焼けして緑の服のひやりとす   野口る理

 「緑」が効いている。たとえば「赤」「白」「黄色」「青」「水色」などの色名とは異なり、「緑」は色名でありつつ木々や草花という具体物をも指す。「日焼け」が自然界の基というべき太陽のイメージを喚起するため、色名としての「緑」と具体物としての「緑」とのダブルイメージの余地が生まれる。それにより、色名を言いながら視覚的な涼感ではなく、「ひやり」という体感が腑に落ちるものとなっている。

 この句は、袖を通すときの密やかな小さな出来事を言いながら、広やかな林中で風に吹かれるような錯覚を連れてくる。

「眠くなる」(『俳コレ』邑書林、2011)より。