2008.11.20井上井月顕彰会発行、竹入弘元著「井月の魅力」より
注意)メメシクまくらは前回から続いています
野宿してそのへんに座って朝を迎えた僕ですが、不動産屋もまだ開かぬのでする事もなく…
そんな時、相子さんから連絡が
「下北沢近いから道に落ちてないか見てきてあげるよ」
聞きましたかみなさん、今時なんて立派な人でしょう、ありがたやありがたや
人間なにか少しでも楽しい事があればなんとか生きていけます、僕は電車に飛び乗って、相子さんと待ち合わせして、因縁の下北沢で定期と鍵と免許を探す旅に出ました。
相子さん「大変だったねぇ」
麒麟「そうなんですよ、大変だったんですよ、辛かったですよ、わんわん…」
人恋しさに相子さんに愚痴をこぼしながら、さぁ下北沢をぶらぶら
かの角川俳句賞授賞作家に落とし物を探すのを付き合ってもらうという、豪華というかバチアタリな下北沢吟行、えぇ、これは吟行です、多分。
下だけを見て歩く下北沢、あぁ下だけを見て歩く下北沢、下北沢不吉!
警察「あー、あったら電話がきますんでなかったらないってことですんで」
店員さん「うーん、落とし物はなかったですね」
会社「西村くんが酒飲んで定期入れなくしたらしいよ、それで休みなんだって、ダメねぇ」
鴉「アー、アー」
あぁ下北沢不吉!下北沢不吉!
下だけを見て歩く下北沢、あぁ僕の人生よ、ららら、ゆあゆよーん
結局定期入れはなくてですね、相子さんとご飯食べて喫茶店でお茶して不動産屋に向かいました。
相子さんありがとうございました、このご恩は忘れませぬ、これはこれで過ぎ去れば良き思い出に。
あ、楓子さんからメールが
「もー、私が見捨てたみたいじゃないのー」
感謝しとりますよ楓子さん、実は楓子さんは僕に付き合ってたせいで電車が途中でなくなりタクシーで帰ったらしく…
楓子さんマジごめんよ、今度パフェ食べようね、もうじゃんじゃん食べてよ、君の友情を忘れないぜ
石に相子さんと楓子さんを彫りつけて朝晩拝む事にしました。
ひどい災難でしたが、あぁ僕は困った時に助けてくれる人がいる、とありがたくも思いました。でももう鍵無くすのは嫌だなぁ…
さ、井月さん読もうかな、みんなちゃんと「ほかいびと」観に行きましたか?
除け合うて二人ぬれけり露の道
井月の句の中で一、二を争う良い句ではないでしょうか?伝説だけでなく俳句も評価されて、歳時記等に入ると嬉しいんですが…、竹入先生の文章も素晴らしい、以下引用。
思いやりのある村人。こういうやさしさが失われた現代。自動車の乱暴運転、スピードのだしすぎ。
この句の碑が伊那市によって三峰川右岸に建てられた。
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ひでぇ時代だぜ、まったくよ。伊那市とても良い事しました、そういえば伊那市のマスコットキャラクターは「イーナちゃん」だっけな、違ったっけな…
露寒し衣の勧化まだ出来ぬ
勧化(かんげ)はここでは寄付の意味で、以下引用。
全集に、夏服のまま、厳寒に迫り、ついに落命かというところを竹村氏に救われたとか、
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昔小諸で野宿した時(多いなぁ…)、五月だったけど寒くて寒くて死にそうで、赤い猪木タオルを体に巻き付けて、キャンディをなめながら震えていたのを思い出しました。五月でも小諸は寒い。
露の音腹もへるがに夜の冴(さえ)
以下引用
生きるとはどういうことか、つくづく考えたことであろう。
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あぁ今年29なのに、時は平成なのに、井月さんみたいでごめんなさい
乾く間もなく秋くれぬ露の袖
以下引用
時に井月三十一歳。作句年月の判明している最初期の句。
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あと二年後、幸福な俳句を作っていれば良いなぁ
酒を売る家に灯はなし遠砧
以下引用
酒好きの井月、たまには自分の所持金で買って飲むこともある。
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ぼ、僕の事かと思ったよ、たまには自分の…、シミルぜ。兄さん姉さん、いつもすんません
新米や塩打つて焼く魚(うお)の味
以下引用
「餅も酒も皆新米の手柄かな井月」保管法進歩した今でも、新米はよい。
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竹入先生名文です、うまそうです。「塩打つて」なんてうまそうだなぁ。
山雀や愚かは人に多かりき
こんな時代になりました。
秋も良(やや)面白うなる瓢かな
あ、僕の瓢箪好きはもしかしたら井月さんからきてるのかも、酒入れて腰にぶら下げてたんだってね
菊咲や陶淵明が朝機嫌
酔っ払いは、李白がいるじゃないか、陶淵明がいるじゃないか、と思う事で気が楽になります、というか僕がそう。
すべての人が幸せでありますように、すべての人が定期入れをなくしませんように
バーイ