昭和63.2本阿弥書店発行『まつもと・かずや戦後俳句集』
花火大会です、村上さん家です、よく見えるのです、という事でまた転がりこんできました、おぉっ、アッパレアッパレよく見える。
まなこ荒れたちまち朝…
ん…、朝だな…、あっちで転がってる鳥みたいなのは…、あぁ、O智くんじゃないか、あれ、あとみんな帰ったのかぁ…、むにゃむにゃ…、畳がひんやり気持ち良いから…、うん、もうちょい寝よう、ぐーぐー
まなこ荒れ今度こそ朝
ふぃー、おはょぅござぃます…、むにゃむにゃ…、うーむ、気持ち悪い…、二日酔いかな…。
村上さん「あなた昨日はすぐ寝ましたね」
麒麟「…、あれ、僕いつ寝ましたっけ…」
村上さん「ワイン飲んですぐぐらいじゃない」
麒麟「ワイン…、飲みましたっけ?越智くん僕ワイン飲んでたっけ?」
越智くん「酔っ払い、タハハ麒麟ふぃー♪」
↑
彼なりの愛情表現です、可愛い可愛い
あれ…、テーブルに素麺がある…
麒麟「あれ、僕素麺とか食べましたっけ?」
村上さん「食べてましたよ、ほら、お寿司が残ってるから食べなさい」
麒麟「いやー、気持ち悪くて…、越智くんほら、食べなさいよ」
素直に食べる越智くん、偉い
大して飲まず食わずだったわりに、連日遊び回ってた僕の体はボロボロで、コテンと寝てしまってました。
きれい好きな村上さんはテキパキとテーブルを片付けていき、気持ち悪くて動きたくない僕は手伝いもせず、腐った魚のような目でテレビを眺める、「村上さん、胃薬とか…、ありますかね?」「いや薬はないですよ」
トイレで吐いてしまおうかと思ったけれど、トイレですら綺麗な村上さん家、吐く事は許されない。体をくねくねさせながらお茶を飲み水を飲み
やがて少し元気になり郁乎さんの話題等で盛り上る
越智くん「良い俳句ってなんですかねぇ、なんだと思います?」
僕は良い俳句というか吐きそうでそれどころじゃないので
麒麟「村上さん、どうですか?若者から良い質問が出ましたよ」
テキパキ片付けながら
村上さん「え、いや聞いてなかったです」
アハハタハハと俳句の話で静かに盛り上り
あー、楽しかった、こんな日々が永遠に続けば良いのに
えーと、なんだっけ、先週の続きいきますよ、昭和30年代、デモや原発問題、今読むと重たく色々考えさせられます。
昭和32(茨城東海村の原子炉に初めて原子の火が点火、ソ連人工衛星打ち上げ)
にくいジープかわいいジープ泥はねあげて銀座は他人の街
軽快に走るアイツがにくい
俺のつら写したあいつもまたかなしい職業
最高にふてぶてしく写ろうぜ
昭和33(売春防止法により吉原は閉じたが代わりに上野、浅草に街娼が増える、岩戸景気、一万円札登場)
歴史にはところどころ嘘があり天皇は鼻毛おだしになる
それは宮内庁の怠慢です
安保に限らずたたかっている目鼻を夜妻がきてなぞる
そんなに頑張ってないんだけど、三十近い麒麟です、優しくされたいぜ。
昭和34(上野公園解放、皇太子と美智子妃の結婚パレード、カラーテレビ売れる、年金制度実施)
中年のストリッパーに罵声がそれも年寄りから
悲しい…、やりきれないねぇ…、むしむしむし暑い浅草。
浅草に戻ったストリッパー四十過ぎて赤い靴にしわよせている
頑張って生きている人が愛しい、畜生畜生と、それでもやはり生きていかないといけないもんです…。
昭和35(安保阻止の関心高まり連日国会、首相官邸へデモが押し寄せる)
靴底のわずかな余地で蟻がききだすこの男のつぶやく「かねかね」
お金なんて、とか言ってる人はお金に困ってない人です、小銭を数える惨めさといったら…
風呂だけがたのしみだとぽつり五十の人生がいわせる
僕今年29なんだけど、もう、やや、風呂とトイレが一番落ち着く場所です
そいじゃまた、バーイ
あ、村上さん、お邪魔しました、来年もまた花火よろしくお願いします。