ミスター零③

誰も信じてくれないけど、僕一応働いてまして、毎日会社というものに行ってます。なんだか俳句の世界にいると、やたらと皆学歴や職業を聞いてきますが、いけませんネ、それは下品な事です、ろくな俳人になりませんヨ。

うちの会社、何やってるかは教えてあげませんが、僕を雇うぐらいなので、なかなか良いところもあります。①昼飯を食べた後(鮭とかコロッケの弁当が出る)昼寝の時間がある。②二日酔いで昼まで吐いてても意外とバレない。③三時のおやつの時間がある。④休みたくなったら休める(土日は忙しいんですよ、古志の皆様)⑤麒麟めはあまり働かない人として許されている⑥仕事中作業をしながら俳句の事を考えられる、むしろ俳句作ってる⑦昼食時にテレビが見れる(僕ん家テレビない、あるけどアンテナがない)⑧他にあったっけな⑨たくさんあれば良いってもんじゃないよね⑩麒麟めに優しい

えーっと、杉本零さんやるね

とまりゐる南京町の扇風機

「たる」じゃない、「ゐる」ね、ゐる。

灯取虫ぬぎも散らせし子等の靴

こういう句の時に絶対上五が「クリスマス」とかにはならないのが零さん。

オーバーの内ポケットの手紙かな

男のオーバーには悲しみが詰まっているのです、だから優しくして

胸板を叩きて使ふ団扇かな

さぁ、どうしようかな…、と人生でいったい何度考えるもんなんだろう…。

炬燵寝や気まま暮しの先みえて

おぉ…、読んでて胸が痛い…、そうですか、僕は見えそうになると酒に逃げます。零さん、お会いしてみたかった。

草紅葉愉しき時はもの言はず

静かに清らかに、今、愉しい。

みかんむく言葉選びて語りつつ

言ってはならぬ事、言っても仕方のない事、我々大人なので。

熱燗や我に大事な友ばかり

だから飲みに行っても嫌な顔はしないでおくれ、A子よ、零さんの俳句をよく読んでおくれ。

糸切れし風船といふたとへかな

あ、僕?いやいや、え?やっぱり僕?

ごみごみとしてなつかしき梅雨の町

寂しさが零さんの大きな魅力

いつまでもひとつ年上紺浴衣

好きよ~、あな~たぁ~、今でもぉ~、い~ま~でぇもぉ~♪

雪国

零さん、読めば読むほど好きになります。僕は句集は一冊に二十句ぐらい好きな句があればとても良い句集だと思うけど、零さん、ほとんどすべての句が好きです。

ではでは、みなさんも寂しく愉しくね

ばーい