ミスター零④

杉本零句集「零」
平成元年二月二十一日、杉本零遺句文集刊行会発行

A子よ、怒ってはいけない。昨日電話に出なかったのは実はこういうわけで…

22時30ぐらいでしょうか、僕は機嫌よく落語のCDを聞きながらお酒を飲んでいました、あぁ楽しい一人の夜。

電話が…

村上さん「こんばんは、麒麟ちゃん。今どこですか?今新宿に居るんですよ、ゴールデン街に行こうと思うんです」

僕はやや酔っぱらってたので

麒麟「40分で行きます!」

と言ってですね、まづは酒を飛ばすために水をざぶざぶ浴びて、よっし、すっきりとぴゅーっと電車に飛び乗ってですね、いざ新宿ゴールデン街!

店の近くの花園神社で待ち合わせをしてですね。

神社に入ってすぐ目に入ったのは、若い男女が赤い社につかまったまま、○っ○○してる様でして(これがまたホント!)、とりあえずジロジロ見ながら中へ進むと…

また電話が鳴る

村上さん「ナントカ~♪ふんふ~ん♪あはは、歌わないといけないかなと思いまして、麒麟ちゃんどこに居ますか、あ、居た」

村上さん登場

村上さん「麒麟ちゃん、どうですか夜の花園神社、なかなか良いじゃないですか」
麒麟め「あっちでアホなカップルが○っ○○してましたよ」
村上さん「そりゃけしからんですね」

意外と元気な村上さんと詩人のナントカさんが名付けたという、鳥?なんだっけな、まぁそんな名前の雰囲気の良いお店に入りました。

村上さん「いやー、よく来ましたねー、こちらはね、麒麟ちゃんです、麒麟と呼び捨ててやってくださいね、タハハ」

マスター「麒麟…、号かなんか?そう言われてもねぇ…」

マスターはイケメンで口数少なく、とても良い人でした、ふむふむ、人生は修行だ、楽しいじゃないか、ゴールデン街。A子が悲しむからまた警察に捕まったりしないように(取調室で一句どうぞと言われた事がある、ちなみに僕は悪い事してませんよ)最近は無茶なおじさん達とあまり遊ばないようにしてますが、村上さんなら安心です。ね、村上さん?楽しいですね?

ん??

…寝た?村上さん村上さん、ねぇねぇ、村上さーん?

村上さん「ん?起きてますよ、えぇ、引っ越しをね、手伝ったんですよ、今日、疲れてね…」

ぐらぁぐらぁ~、すぴー、すぴー

村上さん、村上さん!書きますよ?きりんのへやに書きますよ?起きてくださいよー…

すぴーすぴー

村上さん「ん?寝てないですよ、大丈夫です。中野でね、引っ越しの手伝いを…、あなた、よく来ましたね」

ぐらぁぐらぁ~、すぴーすぴー

ダミダこりゃ、って村上さん、僕が一杯飲む前から、そりゃないですよ。

マスター「アイスピックで刺してあげようか?」

何回かマスターが話かけるごとに少しだけ起きる村上さん、カウンターの酒をひっくり返さなかったのは奇蹟だと思います。

マスター「…だめだね、椅子から落ちるから後ろに座らせようか…」

村上さんを椅子から下ろすと、大丈夫です、大丈夫ですよ、と五センチづつ、チクチクチクと移動して椅子に座り、高僧のごとくすやすや眠る村上さん。

マスター「○○から来たの?村上くん、呼び出しといてこの体たらく?ダメだね…」

麒麟「ダメですよね、いやー、ダメですね」

マスター「マイナス百点だね、甘い物好き?食べる?」

可哀想に思ったのか、なんか美味しいケーキとかくださり、ムシャムシャ食べて飲んでいる麒麟め…。

不安だったので、困った時の敦姉さん、いやー困った困ったとメールをしたら

「二人ともほんっとおバカ」とメールが返ってきました…。

さてさてゴールデン麒麟、無事に帰る事ができるのか?まくらの続きは来週のまくらで!

えーっと…、なんだっけ、人生は修行だという話だっけ、はい、杉本零やります、意外とどのまくらとも零さんは相性良い気がします。

山の蝶とまるギターのケースかな

ちょっと荒く

踏切に秋の日傘と思ひけり

春なら成り立たない、秋ってのはやはり寂しい

咥へたる楊子を噛みて夜なべかな

辛い辛いを越えると黙る

ねんねこやくるりと廻る母の顔

ユーモアだけじゃなくて、ハッとしてなんだか運命みたいな物が見えてしまったような怖さがある。

冬晴や錆びてよく鳴る駅のベル

錆びてるけどまったく汚ならしくない、むしろ清々しい。

山笑ふ登つてみたくなりにけり

斬新な表現とも思わないけれど、不思議と新鮮な表現に見える、幸福のような、希望のようなものまで見える。

立ちどまる時目をつむる遍路かな

パチンコしてぇ、とか考えてるわけじゃない

扇風機止まらんとする卍かな

卍の字が動きそう

夏痩の肩突上げて笑ひけり

たけし的な、バカヤロウっ的な。
あ、敦姉さん、池内たけしの方じゃないよ

さて今回もびっくりするぐらいページは進まなかったけど、どの句も良いでしょ?

そんじゃばーい