佐藤佐太郎全歌集
昭和52年11月十日、講談社発行
先日誘っていただいた吟行会がウハウハで実に楽しかったです。
昼からワイン(珍しい)を飲んでそれはもうニヤニヤしながら幸せな気分で帰ったものでしたよ。
吟行の紅葉よし、茶菓子よし、句会よしと言うことない一日でした。で、句会でオッと関心した事がありまして…。
選んだ句に対して
「好きでした」と、一言だけの句評をされた方がいらして、それが文字では伝わらないかもしれないけどなんとも気持ち良かったのです。表情、タイミング、声、すべてがバッチリと合っていてとても良い「好きでした」でございました。
「巧い句です」より何倍も「好きでした」と言われたら嬉しい。
でも「巧くてしかも好きです」とか言われたら信じない、それはヨイショ。
はい、なんでもない話でした。まぁこういうのも、ね。
何やろうかな、今日は、短歌やろうかな、うん、短歌やります。僕が好きな佐太郎さんをやっていきまーす。
『軽風』の昭和四年まで
人々にわれは言はねど暁の寒さにひえて起くる朝多し
言わないけどそうなんだよ
きはだちて黄色になりし柚子の実の梢にありて冬ふけにけり
きはだちて黄色い柚子の黄色さがきはだつてゐるよ
ものを言ふわがつたなさは常しれどひたぶるに言ふ心せまりて
佐太郎先生の短歌にもウオオーという叫びが詰まっているのです
故里にわれ居りしころ味噌汁によく煮て食ひし春さきの若布
「よく煮て食べた春さきの若布」と同じなんだけど、食ひしのが美味そう。
石の上にわれは居りつつ山川に蝌蚪(おたまじやくし)の流るるを見つ
この調べのよさが気持ち良いですね。言っちゃなんですけど別におたまじゃくし見てるだけなんです、これがなんだか妙に楽しい。
かにかくに吾が住む部屋ぞ帰り来て古米(ふるごめ)のごとき香を感じ居り
あぁ、今日もまた生きたぞとぐったりするのです。男の部屋とは古米のようなものです、いや、しらんけど。
人々は皆外にいでてこの真昼地図など見つつ吾はこもりぬ
へー、こんなところに川があったんだ、ふーん、いや行かんけども。
降りつぎし時雨の雨は夕べよらあらしとなりて夜半にははれにき
ふーん、時雨って不思議って、これ時雨かなぁ…。でもまぁ、夜半にははれにき。
人生色々あるけれど、すっきり佐太郎、また来週。
ばーい