如月真菜句集『菊子』
2007.2.22ふらんす堂発行
結婚してからほとんど一人の時間は無くなってしまいました(A子は同じ職場)。たまに一人の休日になると「今しかできない事をやろう」と急いで風呂を沸かし昼風呂に入ります、入ったあとは速やかに湯を抜いて無かった事にします。そして昼ビールを飲んで、スポーツ新聞を読んだり、居ると買ってもらえない漫画を買いに小さな本屋に行ったりして(レシートは生ゴミと混ぜて捨てる)ごろごろして、最低限怒られない程度の家の用事をして、夕方あたりにちょっと寝ます。
今日はジョージ秋山『浮浪雲』を105円で15冊買いました。俳句雑誌で隠してますけど…。ふわぁーあ、休日にごろごろするって一番贅沢なんじゃなかろうか
さて今回は如月真菜さんの『菊子』をやります。実はこの句集は去年、誕生日プレゼントにいただいたのでした、嬉しかったですね。会った事の無い方から「きりんのへやを見てるよ」と言われる事に寿命が三日づつ延びるような気がします。
さ、読んでいきますよー
雨降れば雨を拝みて生身魂
そんな生身魂にわたしゃなりたい
裸にて世間のことをどうかうと
僕は最初の就職先を辞めたあと、新聞を文化欄やらスポーツ欄しか読まなくなってしまいました、世を捨てたわけじゃないんですが…。
昼寝覚島より文の届きをり
手紙は来ると嬉しい。遠くからほどなんだか愛しい。
無花果や虚子先生はやさをとこ
「会った事ないけど俳句」というジャンルがあるんですが、詠み手がどう楽しむかが勝負かと思います。無花果よく出てきたなぁと、好き句です。
春眠をそこに残して出てゆける
これぐらい優しく見守って欲しい
業平の目のはなれたる歌留多かな
なんでもやってみるもんです。楽しくて品もある句です。
天袋より桜鯛盛る器
料亭とかで飾りたいぐらい華やかでめでたい句。桜鯛って書くと嬉しくなります。
にはとりのことたのみおく夏休み
食べないで
お遍路の瞼をしばしおさへては
くー
↑
お疲れのお遍路さん
織り上げてすぐにひろげて彼岸西風
〈織り上げて〉がすんばらしい。
現実に華を足す巧さがこの句集のすんばらしさ。涅槃西風の句の中で一番良い句なんじゃなかろうか。
いい風が来よりますとて鳶の秋
そしていい鳶
昼月をかすめし鳶や濁酒
そんでいい濁酒、俳句の面白さは濁酒としか書いてないのにすんごい美味しそうに感じるところ。
俳句だけが持ってる面白さというものを説明するのは僕には不向きだけど(長くなりそうだから)、とりあえず『菊子』をオススメすれば伝わるような気がします。
動物とヌードと二種や初暦
猫と壇蜜
因果かな氷柱の長き宿に居て
色々ものを思いつつ、茶など飲みたい。
火無き炉や時雨の庭をながめゐて
今を詠んだような句なんだろうけど、ふっと、ぽんと数百年前の景色が浮かぶような、素敵な句。匂わすと言うのかしらん。
更待の叔母様の名の菊子かな
椿子(虚子のアレね)って良い名だなぁって前から思ってたけど、菊子さんも良いなぁ、菊さんとまた違って、菊子さん、うん、また感じがぐっと違いますね。お茶も紅茶も素敵に淹れてくれそう(名前だけのイメージね)。
おばけちふあだ名のひとや鮟鱇鍋
一年に何回「きりんさんって本名なの?」と聞かれることか…。
「ええ、そうですよ」って次は答えてみたい。
縁あつて同じ炬燵に足入れて
前に尊敬してる俳句の人から「最近は季語で攻める、という句が少ない」という話をちらと聞いた事があり、あの俳人の人はきっと『菊子』を絶賛するだろうなと思いました。
僕は結構無季や破調の句を愛読するのに、詠む時はなんで一句も無季の句が出てこないんだろうと考える事があります。相性ってもんがあるんでしょうね。
『菊子』はですね、好き句、大好き句を抜いていくと、もうほとんど全句に近く抜き出せます。2007年に出てる句集だからまだ手に入るかな、みなさんぜひ読んだ方が良いですよ。
そんじゃ
ばーい