リフォーム中の家の中。壁がベニヤで整えられつつある、という状態の中で、新品の引き戸だけが、ぴかぴかと輝いている。雪の被害で、キッチンの納品が大幅に遅れるとのこと。ううう。
リフォーム中は、家でごはんを作ることができないので、基本は外食になる。
当初は、外食生活、楽しみ!という気分だったのだが、外食で問題なのは、そのとき食べたいと思うもの&量を必ずしもかなえることができない、ということ。食べたいものといっても、からだの欲している栄養素の問題なので、レバーが食べたいとか、ほうれん草が食べたいとか、そういうニーズにぴったり答えるためには、やっぱり自分で作るのが一番なのだ。しかも、いただきものの圧力鍋andバーミックスがある。それをおろして、早くスープとサラダのある朝を迎えたいな。
ひょんなことから(詳細割愛)、われわれの結婚祝いにそのバーミックスをくださったのが、高野ムツオさんである。その高野さんが、年末に出された句集『萬の翅』(角川学芸出版)で今年の読売文学賞を受賞されたということで、月曜の夜、授賞式とお祝いの会に参加させてもらった。お祝いの会は盛況であたたかかった。選考委員の高橋睦朗さんは「俳句は沈黙の詩。だからこそこの震災にもっとも肉薄した」と評し、小澤實さんは「酒の席で句集名をつける遊びをした。僕は『仰臥』がいいよ、といったのにふたをあけたら『萬の翅』になっていた」と暴露し、正木ゆう子さんは「もう体に気を付けて、頑張りすぎないでっていうの、やめにしたの。この人はこういう人だから」って愛のある呼びかけをして、みんなが自分のことのように嬉しそうだった。
私は、今度高野さんの句集が出るならそれは“震災の句集”になると思っていたけれど、手にしてみたら、それはまぎれもなく、“高野さんの句集”だった。震災も大きな大きなテーマとして、句集に横たわっているのだけれど、それでもやはり、高野さんの句集だった。それがとても嬉しかった。時代をとらえて普遍へと遡上する、素晴らしい句集です。大好きな句を一句だけ挙げて。
爪先にありて深淵冬銀河 高野ムツオ
