小千谷市で俳句甲子園講習会 ホモ・サピエンスが教えるの巻

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4月の最終週末は、新潟へ。俳句甲子園派遣事業in小千谷で、高校生たちと俳句を楽しんできた。新幹線の車窓はまだまだ雪景色。ときおり、ほっそりと桜が立ち、雪国の春を実感する。

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講習会前日の午後、「駅から観タクン」というJRの観光プランを利用して観光へ。
あらかじめコースと料金が決まっていて、チケットを買えば、タクシー乗り場からどのタクシーに乗っても、規定のルートでまわってくれる(観光ガイドはなし)というもの。運転免許を持っていない身としてはとてもありがたい。
3時間9300円の山古志コースへ。標高が高いので、ここもまた雪景色。
十年前の地震の爪痕が、まだあちこちに残っている。

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山古志に、なぜかアルパカ牧場。そして、観光客たくさん。ようやく雪解けで、牧開きしてはじめての週末なのだという。個人的には、アルパカが、白だけでないということに驚く。もふもふの毛に手を差し入れると、アルパカ自身の体温で、なんともいえないあたたかさ。

アルパカの白抱きしめて春の雲  紗希

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雪国らしく、蓑と雪靴も。

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きらきら。きらきらきら。冬には雪が3~4メートルも積もるらしい(四国、瀬戸内育ちの人間からすると信じられない!)。「電線をまたげるからね」とタクシーの運転手さん。

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山古志は闘牛も盛ん。帰り道、タクシーの運転手さんに「横綱が飼われているおうちだよ」と教えてもらい、ほんの少し途中下車して見せていただく。影までどっしり。においもどっしり。

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一緒に派遣事業を手伝ってくれた、サブ講師の青本瑞季さん(広島高校OB)・宮崎玲奈さん(土佐高校OB)。ともに大学に進学したばかりの一年生、フレッシュである。

講習会のレジュメでは、二人の句も紹介させてもらった。

雲一つ鯉のはやさで来る夏野   青本瑞季

さよならライオンきみのまつげに雪がふる 宮崎玲奈

瑞季は夏、玲奈は冬の光景を詠んだ句だが、いずれも清新な空気をたたえている。雲と夏野、雪とライオン。ふたつの密なかかわりを、遠くから眺めやるときのさみしさに似た感情。

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出張講座は、小千谷市民会館にて。
県内5校から、高校生・先生が参加。

(午前)俳句の基本レクチャー→実作

(午後)句会・俳句甲子園練習試合

の流れ。
いきいきと言葉の弾む俳句がたくさん。練習試合の最後の対決の2句を挙げてみよう。

鉛筆で描く青葉は青くない

青葉騒心臓の音をかき消して

さて、みなさんなら、どちらに軍配をあげますか?迷うよねえ。どちらもいいなあ。
どちらも否定の表現をうまく使っている。鉛筆でデッサンした青葉が「青くない」ということで、本物の青葉の青さがありありと見えてくるし、かき消されることでかえって、高鳴る心臓の鼓動がひびいてくる。

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最後に記念撮影。地方大会ができるといいね、夏に俳句甲子園で会おうね、と約束して別れる。

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帰りの新幹線、瑞季・玲奈と3人で、プチ句会。
お題は「ホモ・サピエンス」。

俳句を作る際、単語カードを配り、その単語と青葉という季語とを両方入れて俳句を作ってください、という課題を出した。単語カードにはそれぞれ別の単語が書いてあるのだけれど、その中で最難問だったのが「ホモ・サピエンス」。玲奈氏が出したお題で、受け取った聡明そうな男子生徒は「うう」「いや、無理っすよ」と頭を抱えながら、こんな句を作った。

ホモ・サピエンスが教える青葉光

「青葉×ホモ・サピエンス」で俳句を作って、これ以上の完成形はないね、と頷きあった我々は、彼の努力に敬意を表して(というよりも変なお題を出したお詫びとして)帰りの電車で、ホモ・サピエンスという語を詠み込んだ題詠句会を決行したのであった。それぞれの成果は、いつかどこかで発表される、かもしれない。

蝶がめくれて直立のホモ・サピエンス  紗希

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