「雨 」 江渡華子

溝といふ溝に埃や梅雨晴間
日傘ひらけば喧嘩してゐたこと忘れ
蚊と見ればあちこちに跳ね少女かな
夜の精算機濡れし千円札拒む
浴衣着て少女は忍者ぽく動く
夏風邪の胸の大きく上下して
眠らざる梅雨の子どもを抱くばかり