2011年6・7月 第8回  おまけ・世代論

2011年6,7月   村上鞆彦×西村麒麟×生駒大祐×神野紗希×江渡華子×野口る理

神野   前回、昭和三十年世代の話が出ました。世代的なことでいうと、いま、七十代~八十代の人たちが、俳壇のトップにいると思うんですが、そのあと、団塊の世代があって、昭和三十年世代がある。でも、団塊の世代が、どこかスルーされている印象がある。

村上   抜けてますよね。団塊の世代の代表的な作家というと・・・

野口   遠藤若狭男さんとか、伊藤伊那男さんとか、あとは西村和子さん。

神野   横澤放川さん。

野口   筑紫磐井さんも。

村上   読まなくても分かる、っていう感じがするかな。すごい年上の人って、読んでると、突拍子もない句が出てるんですよね。僕の好きな村越化石さんとか。団塊の世代っていうのは、常識と非常識の間を、まだ常識を保ちながらやってるような印象があるので。そこからつきぬけてきたものが面白いんじゃないですかね。

神野   それは、年齢的なものでしょうか。それとも経て来た時代によるのでしょうか。

村上   僕もよくわからないけど、頑張らないといけないっていう教育とか、高度経済成長期の上昇志向っていうのはあるのかもしれない。

神野   村上さんの世代では、もちろん、もうそういう教育ではなくなってきてますよね。

村上   全然、ない。僕が生まれてから、政治がいいなあ、って言われたこと、一回もないもん。誰が首相になっても、みんな悪い悪いって言って、景気も、悪い悪い、ばかり。僕が生まれたころ、まだバブルははじけてなかったけど、記憶には残らない時代だったから。

江渡   自分たちがものを考え始めた頃には、もうはじけてた。

村上   景気がいいっていうのは、どういうのかわかんないし。

神野   そう。だから、そういう良い時代を知らないのはかわいそうだって言われることがあるけれど、「ん?」みたいな。

江渡   記憶にすらないからね。

神野   今の現状が、ずっと現実だったから「そんなもんなんじゃないの?」っていう。

村上   景気のいい社会って、どんな感じだったんだろう。

野口   どんな感じだったんでしょうね。

江渡   会社の中で、倉庫を整理してると、資料を見て、驚くよ。こんなにもうけてた時代あったんだなって。いらないものがいっぱいある。今は、ファイルひとつ買うにも節約しろって言われるのに。

神野   でも、それが当たり前だよね。そういう時代の違いって、句に、おのずと出るものなのかなって・・・こういうことは証明するのがとても難しいんですけど、でも、実感として、やっぱり世代の感覚ってあるなと思います。

村上   句にも出るし、読み方にも出るし。

神野   季語や伝統なんかに対する考え方にも出る。

江渡   光GENJIが活躍してたのって・・・

神野   平安時代?

江渡   違う違う、ジャニーズの。

村上   僕が小学校のころですね。

神野   私は幼稚園。

村上   テレビで放送されるときは、テレビにラジカセを近づけて、録音ボタンをおして、それをテープに撮って、という時代でした。

神野   私はラジオでそれやってましたね。

江渡   最近、テレビで諸星くんが出てるのを見て、とっても懐かしかった。

村上   かーくんって知ってる?

西村   え?なんですか?

村上   諸星くんのことだよ。

西村   諸星が、かーくんなんですか。

生駒   みんながローラースケート履いてるっていうイメージしかないです。

野口   光GENJIだと、もう、昔のアイドルって感じがします。

江渡   あのころが、バブルがはじける前後ですかね。

村上   長いはちまきを巻いてね。

神野   私は、世代的には、SMAPですね。学校で、SMAPの話題が多かった。十時からのSMAPの番組を、私は夜九時には寝てたから、見られなかったんですよね。

村上   僕も九時に寝てた。翌日学校に行くと、仮面ノリダーの話をしていて、おんなじ状態。

神野   昭和三十年世代と、私たち二十代近辺の世代の間に、もうひとかたまり、世代があるような気がします。三十代後半~四十代あたりの。

村上   その世代、その世代で、同じ一句でも、読み方が変わってくる。

神野   句が変わることよりも、読み方が変わる、ってことのほうが、大問題という感じがします。それが、これから俳句の世界を、どう変えていくのか。変えていかないのか。とても興味があります。

江渡   紗希ちゃん、写真消したくだり、絶対入れてね。

神野   うん、かなしい。

西村   あんなに一生懸命とってたのにね。

神野   失礼しました。今日は、長時間お付き合いいただいて、ありがとうございました。

(終)