狼狽の父が買ひたる金魚かな
きりんの家19日目「父とは寂しいものですね」
麒麟の実家、尾道。
シロ(鯉)の話もしたので金魚の話もしようかな。
少年時代の僕は、喘息で入院ばかりしていました。しかも一人っ子の鍵っ子で18歳から他県の高知の大学に行きましたから、なんというか、両親の中では僕はゲホゲホ言ってる青白い病弱な子ども時代のままでストップしているところがあります。
なので、実家に帰った時ぐらいはと、酒も飲まずにイイコでいるようにしていました。
恐ろしい事ですが父母は僕の事を、飲まず、彼女もなく、学問芸術を愛し貧しくとも清らかな、なんというか孔子のような聖人だと思っていました。あぁ恐ろしい。
残酷な話、時間は過ぎていきます。
麒麟「お盆休みに彼女を連れて帰ろうと思うんだけど…」
父と母「あぁっ!うちの麒麟が!うちの麒麟が大人になってしまう!!」
去年のお盆に尾道の実家へA子を連れて帰った時の父の狼狽えようは、それはそれはヒドイ有り様でした。どうしたらいいのかわからなかったんでしょう…。
できるA子は完璧に「良い妻になりますオーラ」を出し続けてくれましたので、うちの両親は「これは良い人が来てくれた」と大喜びでトントン拍子にさていつ結婚するんだと話になりました。
数日後、なぜか父は急に小さな鯉と水槽を買ってきました。
さらにしばらくして、なぜか大きな金魚を三匹も買ってきました。もちろん水槽も。
今、尾道の父は、鯉と金魚に話かけながら嬉しそうに世話をしているらしいです。あぁ父よ…。
A子ちゃん実家の尾道どう?好き?
「うん、尾道で暮らそうか?」
うむうむ。
では
また明日。