2014年8月5日

潜水服脱げば水着の少女かな

メーカー :Montblanc
名   称:作家シリーズ、Jules Verne, 限定 15628/18500(2003年)
ペン先  :18K, F
軸など  :青のプレシャス・レジン、プラチナ加工の土台、本型ケース
吸入方式 :吸入式
購入日時 :2008/6/4
購入ルート:ペンハウス
1485
 モンブランはいつの間に筆記具メーカーから高級アクセサリーメーカーへと堕ちてしまったのだろう。万年筆でも最近はこれでもかというほど豪華で高価なものが中心になってしまった。マイスターシュトゥックなど地味だがドイツらしいメカニックの技が光る書き味重視のペンは隅っこに追いやられている気がする。
 モンブランが限定品路線に力を入れ始めたのは第3次万年筆ブーム(20世紀初頭、60年代につづく80年代以降)に入りこの作家シリーズを毎年出すようになってからではないか。それでもこのシリーズの初期のものはさすがモンブランと言わせるだけの、デザインや素材より書き味重視の姿勢を保っていた。それがその上のクラスのパトロンシリーズや更に上のクラスの偉人シリーズなどが登場し、作家シリーズすら普通の万年筆になってしまった。
 作家シリーズの記念すべき第1回モデルは有名なヘミングウェイである。1992年に世に出たこのペンは限定品にしてはかなり多い2万本も生産されている。にも拘らず未だに伝説が付きまとい、コレクターの垂涎の的ということで値段の方は中古市場でも信じられないくらいつり上がっている。残念ながら筆者はこれをまだ持っていない。デザインはモンブランの1930年代のモデルの再現といった趣きだ。
 さて、このジュール・ヴェルヌは2003年に世に出たシリーズ第13作目の作品である。金属の軸はかなり重い。だがその重さに委ねてペン先をすべらせると結構すらすらと書ける。軸の表面に施されたギョーシェ模様が波を思わせ、その上に被せられた美しいレジンの青色とともにいやが上にもヴェルヌの『海底2万マイル』の世界を彷彿させる。キャップの形は潜水服をかたどったものと言う。
 私にとっては記念すべきモンブランの作家シリーズの1本目なのであった。