2014年8月8日

秋立つやペリカンの嘴金に濡れ

メーカー :Pelikan
名   称:1931Toredo、2003年、限定 880/1100
ペン先  :18K, F
軸など  :鉄製のべ一ス素材に23金象眼装飾、セルロイド、エボナイト
吸入方式 :吸入式
購入日時 :2013/5/8
1488
 ペリカンという面白い名の会社はモンブランと共にドイツを代表する、というより世界を代表する筆記具メーカーである。創立は1832年とかなり古い。そもそもは絵具の製造から始まり19世紀にはインクメーカーとして世界でもトップの地位にあった。万年筆の製造に乗り出したのは1929年のこと。トレードマークである親子のペリカンは、経営者として参加していた化学者ギュンター・ワーグナーが自分の家の紋章を1878年に登録商標としたのが始まり。
 ファンの間ではペリカンと言えば「トレド」である。トレドは勿論あのスペインの町を指す。中世の街並みがそのまま残されており世界遺産となっている。ゲルマン民族の一派が建てた西ゴート王国の首都であったが、400年近くイスラーム王朝の支配下にあったためムデハル様式という独特の建築様式が発達したりした。トレド名物である象嵌細工もイスラーム伝来である。今に続く「ペリカンのトレド」のさきがけとなったのが1931年に発表された初代トレド。この1931トレドは初代トレドを素材から工程まで忠実に再現したもので2003年に発売された。
 実は現在も作られ続けているトレドは象嵌細工ではない。確かに百を超える工程と1ヶ月以上の日数が費やされているという彫金技術は見事だが、トレドの象嵌細工の技法で作られた由緒正しい万年筆はこの1931トレドのみ。だからコレクター垂涎の的と言われるのだ。