ページ繰る音の鋭角花の冷  永汐之恭

ページを繰る「音」=聴覚を、「鋭角」という視覚・触覚的要素に変換して伝えようとしたところが眼目。花の冷が、ページを薄氷のようにつめたくするので、「鋭角」の感覚的飛躍も肯える。「日向ぼこ」や「あたたかし」であれば、「鋭角」には聞こえなかっただろう。

季刊俳句同人誌「晶」創刊二周年記念号より。