2014年8月9日

秋草を伏せダ・ヴィンチの飛行船

メーカー :Stipula
名   称:Leonardo da Vinci、限定 071/519 (2011年)
ペン先  :14K, M
軸など  :オリーブウッド無垢材/ブロンズ、リトラクタブル
吸入方式 :カートリッジ/コンバーター両用式
購入日時 :2012/6/30
1489
 Stipulaはラテン語で「一片の藁」を意味する。古代ローマで論争に終止符を打つための同意書に一本の藁を引き裂き相互に署名を行ったという故事に由来するという。万年筆メーカーとしてのスティピュラはイタリアのフィレンツェに工房を持ち、伝統的手法や工程を重んじた職人たちによって美しくバランスのいいペンが作られている。
このメーカーのフラッグシップ・モデルはエトルリアであるが、ノベセントというペンがあって書くときのバランスの良さで万年筆遣い達には定評がある。欧米ではキャップをしないで書くことが多いようだが日本人は尻にキャップを差して書く人が多い。そのような場合もこのノベセントのバランスは絶妙なのである。筆者もエボナイト製の中古品をしばらく愛用していたがなるほど言われる意味がよく分った。
 スティピュラの得意とするちょっと変わったペンの形にこのレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめとするリトラクタブル式(繰り出し式)がある。モンブランのボエーム・シリーズなども同じ方式だがスティピュラのペンは窓を持つ点でメカニックのすごさが一枚上手である。軸を回すと窓が開いてペン芯がせり上がってくる仕掛けは、それだけで持つ者をわくわくさせてくれる。如何にもダ・ヴィンチの名称が相応しい。
 ダ・ヴィンチ(或いはレオナルド)の名の付いた万年筆には100万円を超すティバルディを筆頭にモンブラン、オマス、アウロラといずれも高価なものばかり。その中ではこのスティピュラのものはリーズナブルな価格だ。軸がオリーブの木、クリップがブロンズというのも渋い。無垢のオリーブの木地が地中海への思いを掻き立ててくれる。