2014年8月14日

星飛んで一瞬琥珀色の空

メーカー :Graf von Faber Castell
名   称:Pen of the Year 2004, Amber、2004年限定No,1026
ペン先  :18K, M
軸など  :琥珀、プラチナコーティングのリング
吸入方式 :吸入式
購入日時 :2010/1/7
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 ファーバーカステルの歴史は古い。創業者カスパー・ファーバーがニュルンベルク郊外のシュタインで鉛筆の製造を開始したのが1761年。1851年に発表した六角形の鉛筆は以後世界基準となる。今でも色鉛筆などの分野では世界トップレベル。19世紀後半に婚姻により現在のファーバーカステル伯爵家が誕生。万年筆の製造は20世紀になってから。定番は伯爵コレクションと呼ばれるシリーズでペルナンブコ、エボニー、グラナディラなどの希少木材を軸に用いたものが出ている。鉛筆作りの技術の蓄積があるから、木材をはじめとした天然素材を扱った製品が多い。これら高級ラインは「グラフ・フォン・ファーバーカステル」の名で発売されている。
 そのグラフ・フォン・ファーバーカステルが最高級(確かに価格はとても万年筆とは思えない)と位置付け「ペン・オブ・ザ・イヤー」と大上段に振りかぶった名称のシリーズを2003年から毎年発表し続けているのだ。第1作のスネークウッドに始まり、このアンバー(琥珀)、ガルーシャ(赤エイの皮)、マンモスアイボリー、ストーンウッド、サテンウッド(寄木)、ホースヘア、シークレット・オブ・アート(ウォールナットと焼き入れ法による菱形のメタルパーツ)、翡翠、ゴールドオーク、ジャスパー(碧玉)と11作が発表されてきた。希少な素材とクラフツマンシップ溢れるしっかりした作りとで万年筆の世界に君臨している。
 琥珀は樹脂が固まって石となったもの。このペンの琥珀は我々が想像する透明なものではなく、乳白色を帯びた黄色のもので透明性は低い。それをリング状に裁断してプラチナリングと交互に積み上げてゆくデザイン。このシリーズは箱もまた重くて立派である。