2014年8月15日

敗戦日
荷車の去れば草起ち敗戦日

メーカー :Silor
名   称:有田焼万年筆 the ARITA、香蘭社、青華春蘭
ペン先  :21K, M
軸など  :磁器(有田焼)
吸入方式 :カートリッジ/コンバーター両用式
購入日時 :2013/12/10
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 あの太平洋戦争の敗北から短期間で立ち直った日本の底力を示すもののひとつに「もの作り」の技術があるとよく言われる。そこで敗戦日の今日こそ日本が世界に誇る万年筆メーカーのひとつ、セーラーの有田焼万年筆を取り上げたい。
 磁器で万年筆の軸を作るというのは、素材の割れやすさや罅の入りやすさ、金属や樹脂といった異なったパーツとの組み合わせ等から相当困難であろうと容易に推測される。実際このようなペンは他ではモンブランがマイセンの工房と組んで作り上げたアニュアルコレクションやパトロンシリーズの「ポンパドゥール夫人」等くらいしかあるまい。
 2007年に完成したセーラーの有田焼万年筆には源右衛門窯と香蘭社の2種類がある。布製のペンケースと磁器製の筆置が付属しているのも嬉しい。筆者は模様に余白が多くすっきりしているという理由でこの「青華春蘭」を選んだ。これは2008年7月の洞爺湖サミットの際に各国首脳に配られたことでも有名。春蘭なのだが青の色調に支配されている世界は秋の風情を漂わせている。まさに今の季節によく似合うペンである。
 セーラーはこの有田焼の他にも様々な素材を用い、様々な業種とのコラボレーションを試みていてなかなかに目が離せない。最近では宝飾メーカーと組んでダイヤやルビーをちりばめた万年筆を発表したりもしていた。またセーラーのニブ(ペン先)には定評がある。21金なので軟らかいが書き味はまことに素晴らしい。万年筆の神様と言われた長原宣義(すでに引退)の作り出した様々なタイプのペン先を揃えていることもセーラーの特徴。