2014年8月19日

シャンパンの泡のはじけて金木犀

メーカー :OMAS
名   称:Krug by OMAS, 限定 157/843
ペン先  :18Kプラチナ装飾, M
軸など  :木軸(クリュッグの樽)、木箱入り
吸入方式 :吸入式
購入日時 :2008/11/5

8.19

 ワイン好きも万年筆好きも両方取り込んでしまおうという欲張りなペンである。

 クリュッグは知る人ぞ知るシャンパン・メーカー。モエ・エ・シャンドンなどの大手と違って大量生産とはほど遠い理念で作られるシャンパンは、普通のメーカーの最上級クラス(モエではドン・ペリニョン)並みの価格にも拘らず世界中から求められている。とりわけピノ・ノワールという品種を中心に作られるロゼ(といっても色は黄褐色に近い)はボディがしっかりしていてシャンパン界の王様という風格。

 オマスは先述した通りボローニャの老舗。これはクリュッグとのコラボで生まれた稀有なペンである。一見さして珍しくもない木製のペンだがクリュッグのシャンパンを作るためのワイン樽から作ったということを知れば俄かに付加価値が生じてくる。木材から作られたペンは数多く、ブライヤー、スネークウッドなど希少で高価な木でできたものもある。だがクリュッグの工場で実際に使われた樽が原料となればワインファンにとってはどの木材よりも特別な存在である。

 写真の収納用木箱はまるで本物のシャンパンが入っているかのような形と大きさである。さて飲むか!と蓋を開けたら広い空間の真ん中に1本の万年筆が鎮座しているという訳だ。心憎いまでのサプライズの演出ではないか。

 ちなみにオマスはクリュッグとのコラボの成功に味を占めたのか、その後シャトー・ラフィット・ロートシルト、サッシカイアを醸造した樽を使った万年筆を次々と発表した。赤ワインファンとしてはそちらの方が欲しい気もするが、万年筆ファンとしてはいずれもこのペンの二番煎じに過ぎず、食指は動かない。