2014年8月21日

馬のいななき白秋をつんざきて

メーカー :Montegrappa
名   称:Montegrappa for Ferrari, Red、限定 0012/1350
ペン先  :18K, M
軸など  :シルバー925、レッド・ラッカー
吸入方式 :カートリッジ/コンバーター両用式
購入日時 :2012/6/2

8.21

車のことはよく知らない。けれども万年筆と車のコラボは結構多い。ティバルディとベントレー、フェラーリ・ダ・ヴァレーゼ(車のフェラーリとは無関係)とブガッティ、オマスとマセラティ、デルタとアルファ・ロメオ等々。中でもフェラーリと言えば車のことにさして詳しくない著者ですらすぐに分かるほどの知名度の高さからしてこれらのペンの最上位に君臨する。

モンテグラッパのフェラーリは跳ね馬のエンブレムと言いフェラーリを象徴する赤いボディ(万年筆には青と黄のバージョンもあるらしいが)と言い、F1レーシングカーのメーカーとして名を馳せたフェラーリのイメージを遺憾なく体現している。箱自体も真っ赤に塗られ重くて高級感がある。写真の上部に少し写っているが、箱の蓋の裏側にはエンジンの図が描かれたプレートが貼り付けてある。

こういうペンを眺めていると万年筆というのはただの筆記具に留まらず、それを作っている国や人の属する文化を象徴するものだとつくづく思う。これまで紹介してきただけでもテーマとしては音楽、歴史、人物、都市、酒(ワイン)など広範囲に及ぶ。メーカーはテーマに相応しい、しかし飽くまで筆記具としての機能性を失わないデザインを追求し、それを表現するための素材を動員し、その持てる技術の限りを尽くして1本の万年筆を作り上げる。縦令手作りでなくとも、限定品でない量産品であっても、1本のペンには大きな文化の背景が控えている。それを味わうことこそ万年筆蒐集の醍醐味なのである。