世界の終はりに蜂蜜の残りけり
蜂の世界について大きな勘違いをしていた。
一匹の女王蜂に従って、大多数のオスの働き蜂が懸命に働いている、
という構図を勝手に思い浮かべていたが、
調べてみると、ハチの世界では95%がメスの働き蜂らしい。
オスは子孫を残すためだけに、
ある時期に女王蜂から産み落とされ、
図体はメスよりも大きいくせに、
大して働きもせず、巣の中を徘徊。
交尾の役目を終えると、働き蜂からは疎んぜられ、
最後は巣から追い出されて死に絶えるという。
(ある種族においては、交尾後に生殖器がはずれて絶命するとか)
しかし、改めて考えてみると、
オスがメスのために懸命に働いて死に絶える美談よりも
「オス、ダメすぎるだろ」というこちらの話の方が
何となく実感が湧くような、今日このごろ。
以下、蜂の登場する句をいくつか。
蜂の尻ふわふわと針をさめけり 川端茅舎
蜂を描くしだいに蝶に似て来たる 岸本尚毅
分銅のごと熊蜂の揺れてくる 京極杞陽
熊蜂のうなり飛び去る棒のごと 高浜虚子
巣の中に蜂のかぶとの動き見ゆ 高浜虚子
土曜日の王国われを刺す蜂いて 寺山修司
手の薔薇に蜂来れば我王の如し 中村草田男
肉皿に秋の蜂来るロッジかな 中村汀女
われ蜂となり向日葵の中にゐる 野見山朱鳥
冬蜂の死にどころなく歩きけり 村上鬼城