病の床から見える景色はいつも同じ。この人は、庭の松の根が見えているらしい。「根つ子」という言い方がかわいい。
「病み」「見あきたり」というマイナスイメージの動詞が重なっているのに、どこか「やれやれ」というような明るさを感じる。その明るさは、「春」という季節の明るさであると同時に、「根つ子」という呼びかけかたに、松への愛情のようなものを感じるところから、来るもののような気がする。
三鬼の絶筆。『西東三鬼集』(朝日文庫 昭和59年8月)より。正岡子規、明治34年の作「五月雨や上野の山も見あきたり」を思い出す。
昨日は、現代俳句協会青年部の勉強会に参加してきた。
宇多喜代子さんが、西東三鬼の肉声テープを修復したので、そのテープを聞きながら、宇多さんのお話を聞くという会。
三鬼の声は、わりとイメージしていたものに近く、男性の声の高さとしては平均的なもので、遅くも早くもなく、どこか人の気持ちを誘う声だった。