2014年12月11日

はや聖樹銀座を名乗る商店街

荷風散人は江戸時代人以上に「江戸」という〈場〉について考究した。この限りでは――蛮勇を奮って述べることが許されるならば――ロシア文学と似ているとも言えるが、彼は寧ろ「江戸/東京」を〈舞台〉として捉えていたようでもあり、その点ではホームズの方に親近性がある。〈場〉とは〈舞台〉に〈時間〉の要素が加わったものであるということを考えれば、荷風は〈場〉と〈舞台〉を行き来していると言えよう。