お寿司屋さんの卓に飾ってあったミニ盆栽。
「こな」?こなってなんだろう……
苗札をちょっと引き上げてみたら、なんてことはない、「こなら」でした。
「ら」が隠れていたのでした。
〈ガーベラのラの埋もれたる苗札ぞ 紗希〉ならぬ、「こならのら」。
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「紫」主宰の山崎十生さんにお誘いいただいて、一冊の本を作りました。
山﨑十生自選100句を、私が1句ごとに鑑賞文を配した、異色のコラボ鑑賞本です。
十生さんは、どこの誰ともわからない私が『星の地図』という句集を19歳で出版したときに、総合誌の書評で取り上げてくださいました。直接会ったことのない人に自分の句を評してもらったのははじめてで、本当に嬉しかったのを覚えています。本にするって、知らない誰かに届く可能性があるということなんだと。あれから約十年、あのとき投げてもらったボールを、今回、100句を読むことで、ようやく投げ返せたような気がしています。
十生さんの俳句はとてもパワフルなので、一句一句、体当たりで読みました。
一句鑑賞から、ひとつだけ、以下に。
大海月ゆらりはるかに富士の山 『悠悠自適入門』
大海月と富士山のみを大胆にぶつけた構図は、あたかも浮世絵のようだ。現実の縮尺は、海月のほうが富士山よりもずっと小さい。ところがこの句は、「大」をつけて海月を大きく見せ、「はるかに」と形容して富士山を小さくした。結果、海月の存在感が富士山に勝り、一句の主役たりえている。何を考えているか分からない不穏な大海月と、儚く透ける日本国の象徴の富士。「ゆらり」の不安定さに、現代が照射されているように思えてならない。
定価・1300円 四六判 110頁
発行:破殻出版
有楽町の「炉端」というお店。秘密結社エフーディの会合が行われる場所。めちゃめちゃ雰囲気あるでしょう。そのエフーディの会有志で作った、愛媛は別子銅山・松山を旅行した吟行記『エフーディvol.1』も、販売してます。
(いずれも送料無料)