2011年7月4日

革命に憧れ枕の位置変える
   
「ノニノニーノニノニー」
「うるさいな。なに?」
「この位置どうかなこの位置」

飼い主の御中虫が枕をいつもと反対側に置いて腕組みしている。

「イヤそっちは足でしょう」
「ああんもおう~わかっちゃいないなノニノニは~!そんなだからいつまでたっても兎なんだよ~」
「兎だけど…枕は所定の位置に置くべきじゃないかな。寝るとき落ち着かないと思うよ」
「それが、革命ってもんなのよ!」

またわからないことを言い出した。
うんざりしながら一応聞いてみる。
「なんで枕の位置が変わると革命なわけ?」

「いい?革命っていうのはね、すべてをひっくり返すことにあるの。つまり価値観の逆転ね。パラダイム変換ね。昨日まで足があったところに頭がくる。頭があったところに足がくる。ア、コレすなわち革命ナリいっ!」
「ふーん…でもさ、革命って政治的スローガンとかいるんじゃない?私兎だからよくわかりませんが」
「そこよロトチェンコ!」
虫は枕をばふんと叩いた。
「いきなりミドルネームで呼ばないでよ…」
「ロトチェンコのほうが革命にふさわしいからよ、つまりね」
虫はここでやおらベッドに立ち上がり、よろよろしながら叫んだ。
「政治と無関係に革命を起こす!これぞアナキストの革命っ!」
「虫はアナキストだったの?」
「いや、知り合いにアナキストがいるだけです(しかもその人も本当にアナキストかどうか疑わしい)」 

いつもながら噛みあわない会話だ。と思っていたら、
虫はベッドの上で寝てしまっていた。
  
枕は床に投げ出されていた。
  

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