2011年7月8日

鈍感なおばさん或いは善良ななめくじ
  
ノニノニです。飼い主御中虫の家は、梅雨時ということもあり、今なめくじだらけです。
  
「なめくじだらけとは失敬な!風呂場とキッチンと洗面所にしかいないわよ!」
「それだけいたらじゅうぶんだよ」
「蜘蛛もいるわよ!」
「蜘蛛のことなんか聞いてないよ」
「どうせゴキブリだって出るわよー!うわーん!」
「勝手に逆上しないでください」
「で、なんだっけ?ああそうなめくじね。なめくじといってもすごく小さいんだけどねー小指の爪程度の。ま、あたしはあんまり気にしない。だってなめくじは善良だから」
「無理やり掲句につなげましたね」
「だってここそういうコーナーでしょ」
「なめくじのどのあたりが善良なんですか?」
「静か。トロい。特に距離を詰めてこない。お湯をかけたら簡単に排水溝に流れてさよならできる。つまり、いてもいなくても人生にあんまり関係ない」
「成程。ではもうひとつの案件『鈍感なおばさん』についてはどう?」  
「あれはねー!タチが悪いんだよな。決して悪い人ではないがしかし、こっちがかかわってほしくないところまで土足で入ってくるかんじよね。時には人生の先輩風を吹かすことも厭わない。だからやめろつってんだよこのーとか思っても、さすがにそこまで言うのもはばかられるしな」
「だいぶ閉口してるみたいだね。最近なんかあった?」
「あった!(と即答)」
「ま、それについては深く聞かないことにしますが…でもさ、『或いは』で両者をつなげているよね。いままでの話だと、なめくじには愛があり、おばさんには愛がないように聞こえるんだけど」
「うーん…どうゆったらいいかなあ。たとえばね、おばさんがずかずかあたしの入ってほしくないところに入ってきたとき、(ああ彼女は善良ななめくじなんだよな)って思うことにする。そんで、あんまりないことだけどなめくじがあたしの邪魔をしてると感じたときには(ああこいつはいま鈍感ばばあになっているのだな)と思うことにする。そのことによって、その存在を許すのか、排除するのか、決まってくる。ってかんじなの」
  
虫はここまで語ると、ああ疲れた疲れたーと言ってシャワーを浴びに行ってしまった。

まもなく、
「ああっ鈍感なおばさんが3匹もいるー!」とシャワー室から声がした。
  
  

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