はたた神遠くの子らの声連れて
夕方、皆が帰り支度をしてばたばたとしている合間に、アシリ・レラさんについて話を聞くことができた。
新しい(アシリ)風(レラ)という意味の名を持ち、平取町二風谷に生まれ育った。雷が落ちると共に生まれ、雷の子だと恐れられ、一度捨て、東の方角から家に入れて、人間の子として迎える、そうしたカムイへの申し送りをする儀礼を行なったのだそうだ。
アイヌの継承運動のきっかけは小学生の時、北海道の歴史の授業を終え教科書を閉じた先生が言った「この歴史は嘘だからな」という一言。その時アイヌの本当の歴史を失ってしまってはいけないという思いが生まれたのだという。二十歳までは馬追いの仕事をしていて後に結婚したのだが、旦那さんを事故で亡くし、アイヌの民芸品を売って生計を立てていた。けれど、金に欲を持ったら終わりだと店を畳んだのだという。それから農業をはじめ、静内のアイヌの老人達の元へ通いアイヌの物語や文化を習ったのだそうだ。アイヌの継承運動や、二風谷ダム建設の反対運動なども行い、また様々な事情により孤児となった子どもだちを引き取り共同生活を送っている。
アイヌのことを伝えていく責任があるんだと強くいい、レラさんは大きく笑った。